ゆっくり起きた予定の無い休日の朝、折り畳み自転車とともに列車に乗って、ふらっと思いのままにローカル駅で降りてみる。特別な観光地ではなく、普通に人が暮らし、働き、近所の公園で子どもが遊んでいる、なんの変哲もない町だけど、のんびり走ってみると、いろいろな発見や出会いがある。そんな、小径車だからこそのゆるい自転車散歩をお送りする連載記事。今回は、なんと東京のど真ん中、東京駅からスタートです。
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2023年3月14日、東京で桜開花宣言が出ました。え?もう春真っ盛りですか?早すぎますよ。確かに、私の感覚は間違っていないようです。気象庁の発表によると、これは記録的な早さとなった2021年に並ぶ開花日で、平年より10日早い開花宣言です。「開花宣言がなされたからには桜見物に早く行かないと」と思い、早朝に電車に飛び乗りました。
降り立ったのは東京駅。とはいうものの、通称、東京国際フォーラム口です。東京駅の丸の内口や八重洲口は、新型コロナウイルスのパンデミックがほぼ終わりに近づいていることもあり、昼夜問わずの大混雑。自転車を担ぎながらの移動は厳しいかもしれません。しかし、国際フォーラム口であれば、休日はあまり混んでもおらず、喧騒とはかけ離れた雰囲気です。
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公共交通機関を利用して自転車を運ぶことを輪行(りんこう)といいます。サイクリングや旅行の行程の一部を自走せずに鉄道、船、飛行機、バスなどを利用するもので、遠くへ移動したり、時間を短縮することができます。
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今日は休日だからでしょうか。国際フォーラムでは、とある有名大学の卒業式会場になっていて、袴姿の女子大生の姿が目立ちます。以前は桜の季節は入学式だったと思うのですが、最近では卒業式になってしまいました。
今日は、桜見物と合わせて、皇居の周りを周遊する予定です。皇居1周は事実上の江戸城内濠跡を1周することになります。以前に外濠跡を1周していますので、神田川の記事と併せてこれで江戸城濠跡巡りは完結編となります。
まずは、東京駅に来たからにはメインエントランスを撮影しなければと思い、丸の内へ。東京駅丸の内口は数年前に工事を終え綺麗な広場が広がっています。コロナも終息に向かい、多くの観光客も戻りにぎわいを見せていますね。
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道路の反対側から撮るのが実は撮影スポット。行幸通りとも呼ばれるこの場所は、結婚式の記念写真撮影などがよく行われています。
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東京駅の撮影をおえて、180度反転をすると、内堀通りへとつながります。いよいよ皇居1周サイクリングの開始です。道は広いですが観光客も多いので、気をつけて進みます。
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最初に見えてくるのが和田倉門ちかくの濠跡。白鳥が泳いでいたので、慌てて一枚撮影。
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桜田巽櫓。お城っぽさが残っている佇まいに、ついシャッターを切ってしまいました。
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皇居周りは左回りに進むのが暗黙の了解。規則ではないのですが、多くの皇居ランナーをはじめとして、みなさん左回りです。実際、千代田区でも議論されていて、マナーのひとつとして左回り(反時計回り)が推奨されています。よって、私も左回りに進みます。
最初に見えてくる門が大手門。ここから皇居東御苑に入ることができますが、自転車は残念ながらNG。中はきれいな庭園が広がり江戸城本丸跡もありますが、またの機会にすることに。
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内濠跡に沿って進みます。
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皇居の北東にあるのが、平川門。ここは今でも木造建築の門として知られています。北東といえば鬼門。江戸時代当時は不浄門として扱われていたとか。
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さらに、道を進んでいきますが、ここで皇居ランナーたちとは一旦お別れです。私は道を右に曲がっていきます。
目標としているのが清水門。清水門内は地面がしっかりと整備されておらず、ボコボコ。また急斜面の所に位置しています。かなりゴツゴツとした足場は決して歩きやすいとは言えず、サイクリングは不可能です。その結果、東京のど真ん中でありながら、静けさに包まれているのです。
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清水門入口。人通り少なめです。
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今回の車体、DAHON Speed Falco
は12.2kgの重量。肩に担げば、それほど重くありません。30段くらい登ったでしょうか、登り切ったところは北の丸公園。そのまま公園を抜けて、武道館を通り過ぎると、今度は田安門です。ここはソメイヨシノの名所で、多くの人が立ち止まって上を見上げています。
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田安門にて。 |
ところが、開花宣言を聞いて慌ててきたのがいけなかったのでしょうか。このあたりの桜はまだ三分から五分咲きといったところ。さらに、その先に広がる名所、千鳥ヶ淵も五分咲きといったところで、ソメイヨシノの花よりも観光客の方が多いくらいです。桜の見頃はまだでしたが、人々が春を謳歌しているのを眺めて気分は明るくなります。
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千鳥ヶ淵の入口。 |
皇居周回に戻ります。イギリス大使館を抜けて、半蔵門を過ぎたところで、遠くにピンク色に染まっている場所が目に飛び込んできました。ソメイヨシノにはまだ早かったかと諦めていたところに光が差し込んだ気持ちで近寄ってみます。
場所は国立劇場前。この桜は神代曙桜とのこと。ソメイヨシノよりも1週間ほど早く開花する品種でちょうど満開を迎えていました。ここを通る全ての人が足を止めスマホやカメラを取り出し写真撮影を楽しんでいる様子でした。人の流れが切れるのを辛抱強く待つこと15分、自転車とともに写真を撮りました。
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神代曙桜。 |
桜との記念撮影を終えて、先へ進みます。次に到着したのは桜田門。桜田門外ノ変であまりにも有名な場所ですが、現代は散歩をする人、ランナー、観光客が通り過ぎていく場所となっています。
皇居1周はわずか5kmぐらい。これで終わりです。しかし、人を避けながら桜の写真を撮って走ったので、少し疲れが感じられます。皇居前広場にある楠木正成像近くでゆっくり休憩。
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観光バスの停留所が近いこともあり、ぞろぞろと楠木正成像前を通り過ぎていきます。異国の言葉が飛び交っています。多くの観光客が写真撮影をしていきますが、楠木正成像の正面は後ろ姿とは知られていないようです。
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銅像のすぐ近くは自転車を押して入ることもできないため、少し離れたところに座って眺めました。
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今回巡ったポイントと走行ルートです。約5kmですが、皇居周りは見所がたくさんありました。
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今回の「ローカル駅からはじめる自転車散歩」は如何でしたか?日本には全国くまなく駅があり、輪行すれば「楽に長距離を」「比較的安価に」移動でき、天候や体調の急な変化や機材トラブルにも対応できます。今回の自転車散歩はSpeed Falcoを利用。折り畳み自転車とは思えないスポーティーな走行性能で、気持ち良い颯爽感を味わうことができます。DAHONでは様々な折り畳み自転車(フォールディングバイク)をラインナップしていますので、走行性能や好みで自分にあった製品を選んでください。
DAHONでは様々な地方のローカルな鉄道駅を起点にした自転車散歩(ポタリング)記事を連載しています。更新時にはFacebookやTwitterでお知らせしますので、ぜひフォローをお願いします。また「ローカル駅からはじめる自転車散歩」のInstagramアカウントもぜひチェックしてみてください。これまでの記事一覧は、こちらでご覧いただけます。
*使用車体
DAHON / Speed Falco(Color:ネオンホワイト)
*この記事で紹介している情報は、2023年3月時点の取材に基づいています。
*歩行者のいるところや細い路地などは押し歩きや迂回するなど、マナー優先でサイクリングを楽しみましょう。