ゆっくり起きた予定の無い休日の朝、折り畳み自転車とともに列車に乗って、ふらっと思いのままにローカル駅で降りてみる。特別な観光地ではなく、普通に人が暮らし、働き、近所の公園で子どもが遊んでいる、なんの変哲もない町だけど、のんびり走ってみると、いろいろな発見や出会いがある。そんな、小径車だからこそのゆるい自転車散歩をお送りする連載記事。今回は千葉県流山市で自転車散歩をします。
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みなさん千葉県流山市を知っていますか。多くの人にとって「それってどこ?」という場所かもしれません。私にとっての流山は、白みりん発祥の地、または新撰組の近藤勇が捕らえられた場所として記憶しています。なかには、「陸の孤島」と揶揄する人もいますね。しかし、流山は多くの若者から注目を集めるエリアに生まれ変わっています。「母になるなら、流山市。」のキャッチコピーで、6年連続人口増加率全国トップとなり、賑わいを見せています。
私の知っている流山とはずいぶんと様変わりしているようです。これは、現地に行って体感してこないと、その変貌ぶりはわからないでしょう。そこで、今回は流山市で自転車散歩をスタートします。
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降り立ったのは、つくばエクスプレス
流山おおたかの森駅。公共交通機関を利用して自転車を運ぶことを輪行(りんこう)といいます。サイクリングや旅行の行程の一部を自走せずに鉄道、船、飛行機、バスなどを利用するもので、遠くへ移動したり、時間を短縮することができます。
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駅の改札をぬけて、びっくり。真っ先に目に飛び込んできたのが、まっすぐに続くプロムナード。敷地を贅沢に使ったオープンスペースになっています。開放感でいっぱいの駅前に驚きを隠せません。
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子供を遊ばせている家族連れ、ベンチで語り合っている老夫婦、肩を寄せ合うカップル、のほほんとして穏やかなゆっくりとした時間が流れています。不動産業界では、流山のことを千葉のニコタマと呼ぶそうですが、このオシャレな雰囲気ならば、納得できます。
前日は積雪が心配され、とても寒い日でしたが、一転して今日は春の陽気に包まれています。気がつけば、朝ご飯がまだでした。そこで、私もオシャレの仲間入り。オープンテラス席で食事を摂ります。
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まさか流山でオープンテラス席に座る日が来るとは思いませんでした。
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つくばエクスプレスに沿って、自転車を走らせていきます。おそらく、山や牧草地を切り開いて作った道路だと思われ、とても広く走りやすいです。すぐに次の駅、流山セントラルパーク駅に到着。セントラルパークといえば、ニューヨーク。駅前はしんと静まり返っています。繁華街は流山おおたかの森駅に集中していて、こちらはセントラルパークの名前にふさわしく、静かな公園が近くに展開されています。
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今回、乗っているVisc
EVOは折り畳み自転車でありながら、20段変速と大きめの20インチ(451)ホイールを備えています。踏めば、グングンと加速していく自転車です。その性能をフルに発揮できる気持ち良い路面です。
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公園の中はスポーツを楽しむ人、遊具で遊ぶ家族連れで賑わっていました。また、キッコーマンアリーナでは部活動の大会が行われようとしているのか、人が集まってきていました。
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園内にはD51が!市内西部を走る流鉄流山線で利用されていたものだそうです。
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次の駅は南流山駅。市内に3つも駅があることが驚きです。これも流山発展に大きく貢献しているのでしょう。南流山駅は新しくできた駅ではなく、以前からあるJR武蔵野線の駅です。街並みは以前からのものであり、なぜか一安心。新しい街と古い街の組み合わせが趣深いものになっています。
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南流山駅から西側の江戸川方面に少し自転車を走らせると、旧市街方面。「流山本町江戸回廊」と書かれた看板を発見。これは進んでみないと!
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しばらく道なりに進んでいくと、旧市街地と感じさせる街並みが広がります。現代の道路は車が行き交いますが、江戸時代に車はありません。よって、道幅は狭く10mほどでどことなく、うねうねとしています。
この道を進んでいくと、神社に到着。赤城神社と呼ばれています。入口のしめ縄が大迫力。Visc
EVOを駐輪してから、境内へ進んでいきます。
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解説によると、群馬県の赤城山の土が流れてきて、この場所に積もって山になったことが流山の地名の由来になるそうです。しかし、流山は赤城山から100kmくらい離れています。本当にここまで土が流れてきたのでしょうか。もし単なる伝承で事実ではないとすれば、なぜ赤城山と流山をつないだのでしょうか。真相はわかりませんが、いろいろと考えていると楽しくなってきます。
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山の標高は15m。決して高くはありません。また木々に覆われていて、周りが見渡せるわけではありません。電機屋さんの看板だけが目立っています。
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赤城神社は旧市街地の入口と言ってもよいでしょう。ここから北側へ道に沿って進むと、趣深い建物が続いています。昭和の雰囲気が漂う家並み、ところどころにある古民家を利用したお店、たまにすれ違う観光客と思しき人たち。ゆっくりと自転車を走らせて、文字通りぐるぐると探索しながら進んでいきます。
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有名な近藤勇陣屋跡も発見。ここで、近藤と土方が話し合い、袂を分けたのが150年ほど前。歴史の舞台に自分も参加した気分に浸って、しばらく目を閉じてみます。
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新撰組ファンなら気分が高揚してくることでしょう。隊員が参拝したという神社も発見しました。
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旧市街地の北側には浅間神社がありました。浅間神社ということは富士山。ここにも富士塚がありました。しかも登れる富士塚です!(都内の富士塚巡りも併せてご覧ください。)
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界隈で、面白いのが街角ミュージアムです。キッコーマンが自社工場の壁面を利用して、白みりん発祥について解説をしているのです。流山は白みりんの発祥地です。白い壁面に紹介されたギャラリーが往年の賑わいを伝えています。
さらに、この街角ミュージアムから不自然な感じでつづく道路があります。道路脇にあった案内によると、これは線路跡。なんでも、キッコーマン工場で精製したみりんを流山駅に運ぶために線路があったそうです。きっと当時はみりんの産地として、大いに栄えたのでしょう。
流山本町を3周くらいしたでしょうか。ぐるぐると走っていると、疲労を感じてきます。日差しも高くなり、ランチタイムです。そこで、ビルの一階にみつけたお寿司屋さんへ。鮨屋『鮨DINING岡平』。寿司屋と思って入店したら、店内はイタリア料理店のような雰囲気。いわゆるカウンタ席があって、大将に向かって注文する昔ながらの鮨屋ではありません。しかし、鮨屋らしい威勢のいい大将の声が響き渡ります。提供されたちらし寿司をみてびっくり。こだわりの酢飯、流山白みりんを利用した玉子、千葉の郷土料理なめろうとセットになっています。ふと店内を見渡せば、流山にゆかりのある絵画が飾られています。
寿司に舌鼓を打ちながら、想いを巡らせます。流山本町は確かにニコタマの雰囲気はないです。しかし、昔の面影を大事にしながら、上手に観光客を呼ぼうとしているようです。古いからといって廃れているわけではない、伝統をいかしながら、令和の時代に合わせて上手に街づくりをしているのではないでしょうか。新しい雰囲気の鮨屋さん『鮨DINING岡平』が、なんだかその象徴のようです。
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お腹が満たされたところで、流鉄流山線に乗って帰路につきました。カラフルな車体が特徴的な住宅街を走る電車です。
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今回巡ったポイントと走行ルートです。約15km、発見の多い自転車散歩となりました。
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今回の「ローカル駅からはじめる自転車散歩」は如何でしたか?日本には全国くまなく駅があり、輪行すれば「楽に長距離を」「比較的安価に」移動でき、天候や体調の急な変化や機材トラブルにも対応できます。今回の自転車散歩はVisc EVOを利用。折り畳み自転車とは思えない広々とした道路を走れば、気持ち良い颯爽感を味わうことができます。DAHONでは様々な折り畳み自転車(フォールディングバイク)をラインナップしていますが、走行機能と折りたたみ機能のバランスを考えながら直感的な好みも含め、自分にあった製品を選んでください。
DAHONでは様々な地方のローカルな鉄道駅を起点にした自転車散歩(ポタリング)記事を連載しています。更新時にはFacebookやTwitterでお知らせしますので、ぜひフォローをお願いします。また「ローカル駅からはじめる自転車散歩」のInstagramアカウントもぜひチェックしてみてください。これまでの記事一覧は、こちらでご覧いただけます。
*使用車体
DAHON / Visc EVO(限定モデル Color:ディビジョンシャンパン)
*この記事で紹介している情報は、2023年2月時点の取材に基づいています。
*歩行者のいるところや細い路地などは押し歩きや迂回するなど、マナー優先でサイクリングを楽しみましょう。