2022年10月19日水曜日

ローカル駅からはじめる自転車散歩【JR北海道 函館本線 森駅】

ゆっくり起きた予定の無い休日の朝、折り畳み自転車とともに列車に乗って、ふらっと思いのままにローカル駅で降りてみる。特別な観光地ではなく、普通に人が暮らし、働き、近所の公園で子どもが遊んでいる、なんの変哲もない町だけど、のんびり走ってみると、いろいろな発見や出会いがある。そんな、小径車だからこそのゆるい自転車散歩をお送りする連載記事。今回は、前回の大沼公園駅から同じ函館本線で少し北上した先の森駅からスタートします。


 

* * *

 

JR函館駅から特急で約45分。前回記事の大沼公園駅から北へ約16kmの森駅は、その名とは裏腹に噴火湾(内浦湾)に面した街です。2022年現在、大沼公園駅とこの森駅の間にあるのは赤井川、駒ヶ岳のふた駅。駒ヶ岳の次にあった東山駅と姫川駅が2017年に廃止されたことから、駒ヶ岳ー森駅間は12km以上ノンストップの行程になっています。

海が見たい――そう思い立ってやってきたのは「森」駅。駅舎の黄色が青空に映えます。


走り出しはやや雲が多め。「サツドラ」の向こうにはセブンイレブンもあります。

ぜひ地図を開いてご確認いただきたいのですが、森駅が位置する森町(もりまち)は、むしろ森を抜けた先にある海の街。なぜ海なのに森なのか――その謎のヒントが、駅を出て早々に出合ったこの立て札にありました。


この川は「オニウシ=木が多い」+「ペッ=川」でオニウシペッだったわけですが、木が多い場所といえば森ですね。北海道の地名はアイヌ語の音に漢字を当てたものも多いですが、ここ森町では音ではなく意味を残して和名をつけたのでしょう。町内には「オニウシ公園」もありました。

北部や外洋に面したエリアでは、厳しい風雪で大きな木が育たない場所もある北海道ですが、ここはそうではなかったようです。森町の公式HPにも、江戸時代からニシン漁などが盛んな「漁業の地」だったと書かれており、湾に抱かれた恵み豊かな土地だったことがうかがえます。

長万部行きの普通電車を撮ることができました。海と空と一両編成、胸がキュンとなります。

駅を背にして、噴火湾を右手に見ながら西へ向かいます。やがて右手に見えてきたのは「鷲ノ木漁港」。ズラリと並んだ昆布が壮観です。Googleマップのクチコミによると「アブラコ」などの魚を目当てに釣り人も訪れるようです。

絶景をバックに、干される昆布も気持ちよさそう。

カラフルなのにどことなく気だるく物憂げなブイ。オブジェのようです。

何らかの加工機械。沖舘鉄工有限会社製、クマタニ式K-3型篭洗機。

かつてはニシン漁が盛んだったこの辺りは、現在はホタテの養殖で知られています。この日走った時間帯は、朝の早い漁師さんたちにはすでにオフの時間だったようで、地元の方に直接お話を聞くことはできませんでした。上の機械は何なのか独力で調べたところ、おそらく養殖ホタテのカゴを洗ってくれるメカであろうと判明しました。そのほかにも貝を傷つけずに洗ったり、穴を開けたりするために、いろいろな専用機器があることがわかりました。ホタテを育てるためにどんな機械が必要で、どれだけの手間がかかっているか、想像したこともなかったと気づきました。ホタテは大好きですが、どこからどんなふうに来たのか、実感するほどによりおいしくいただける気がします。

見たことのない色の消火栓を発見!

潮風の影響もあるのでしょう、だいぶ古びてはいますが、鮮やかな黄色の消火栓を見つけてペダルを止めました。

調べてみると、函館エリアには「函館型三方式地上式消火栓」なるものがあり、独自のレトロな形状で知る人ぞ知る名物になっていることがわかりました。この消火栓は「函館型」とは少し異なりますが、札幌など、北海道ではほかにも黄色い消火栓が設置されている場所があるとのこと。さらに地域によって別の色の消火栓があるようです。

こうした色の最大の理由は、やはり積雪時の視認性でしょう。雪が積もっていても夜間でも見つけやすいよう、スックと立ち上がって自己主張する消火栓たち。マンホールとほぼ同様の存在である関東などとはひと味違います。

漁港に行くとこういうオブジェも見ますね。ガラスのブイ(ビン玉と呼ぶらしい)が綺麗です。

ハードボイルド感すら漂うのは漁師小屋でしょうか。コーヒーの空き缶がずらりと並んでいました。

ダイナミックに干された布団を思わず激写。この布団で寝たら、海鳥になった夢が見られそうです。

物珍しさにシャッターを押しながらゆっくり進むと、海沿いの細い道の突き当たりに、歴史上のビッグネームにまつわるスポットがありました。



1868年(明治元年)、榎本武揚や土方歳三らが、ここから北海道に上陸したという場所です。現地の解説によると当時のこの地(鷲ノ木村)は茅部街道の要所で、旧幕府軍が箱館をめざす足がかりにされたようです。

上陸したのは旧暦10月20日とあるので、現代でいえばすでに12月。「暴風雪」というのも頷けます。季節の違いだけでなく、いましも箱館戦争へと突入していくという状況もあり、まったく違う景色が見えていたんだろうなと想像しました。

榎本軍の人たちも、雪の舞う中、この砂浜に降り立ったのでしょうか。



線路を越えて、走ってきた道を戻ります。


道路のすぐ横を線路が走っており、そのすぐ向こうには海。線路は目の前の駒ヶ岳方向に向かうと函館方面へ、山から遠ざかると長万部を経由して小樽方面へ続きます。この企画のタイトルでいう「ローカル駅」は、「地元っぽさ」を意図したフレーズです。対してこの函館本線の長万部ー小樽間は(「ローカル線」の定義には諸説あるものの)、かなり明確にローカル線とされている区間。すでに廃線が濃厚になっており、そうなれば北海道の輪行のハードルがまた大きく上がるでしょう。

ご当地マンホールの蓋。駒ヶ岳と森と共に、町の花であるサクラが描かれています。

街なかを走っていると繁華街と思われるエリアに入りました。飲み屋さんや喫茶店の建物が集まっているものの、時間帯のせいもあるでしょうが営業しているのかわからないお店も多く、ちょっと寂しい気持ちになりました。かなり寂れていることは否定できませんが、その一角の突き当たりに石碑が建っていました。


石碑には「森桟橋跡」と刻まれています。現地の看板によると、ここには1873年(明治6年)に全長255mの桟橋(波止場)が築かれ、室蘭へ向かう船に乗る旅人で賑わっていたとのこと。さらに1881年(明治14年)にはこの桟橋から明治天皇が上陸したそうですが、現在は朽ち果てた橋脚材と「明治天皇上陸記念碑」のみが残っていると記されています。

フェンスの向こうを背伸びして覗くと……。

なんと海の中にまた石碑が。あれが「明治天皇上陸記念碑」のようです。


渡島エリアで営業する信用金庫「おしましんきん」の本店。

メインストリートと思しき道をブラブラしてみます。地図で見るとその名も「大通」とあります。しかしここでもシャッターが下りているお店が多くあり、思わず曜日や時間を心の中で確かめてしまいました。都会から来てこんな風に感じていることが傲慢で横暴な気がして、どう受け止めたらいいか、また心の中で確かめたくなってしまいます。

何らかのキャラクターが描かれたシャッターが、「さかえる」の文字に反して閉ざされているのが切ない。

さて、あっという間にまた駅前に戻ってきました。
駅舎の前で自転車をたたんでいると、来た時には気づかなかった貼り紙を見つけました。

ふむふむ。では30歩進んでみましょう。

あった! 「マーイーカ」とアローラ地方の「ロコン」ゲットだぜ!

ご当地マンホール「ポケふた」のサイトによると、北海道ではきつねポケモンのロコンを中心とした絵柄で蓋が設置されているようです。きつねは北海道のイメージがありますもんね。でもここにマーイーカが描かれていることにも意図を感じます。なぜなら森町には、名物「いかめし」があるから!

駅前にあるのは柴田商店。ほかに阿部商店も人気のようです。お店の佇まいもいい感じ。

行きにお店が営業しているのを確認したので、自転車散歩を終えたところでいかめしを購入して、帰りの電車の中で食べようと決めていました。意気揚々とお店のドアに手をかけようとしたところ――。

やってしまった~!

まさかのいかめし完売。スタート前に買っておくべきだったようです。平日だからといって人気を侮っていました……。

これはぐっと落ち込みますが、迂闊すぎるオチがついてしまってもきっと大丈夫。そのためにまた来たっていいし、いかめしとの間に運命の絆があれば、きっと再びどこかで出合えるはずです。

 

ほら、帰りの空港で阿部商店のいかめしと運命の再会。ありがとう、北の大地の恵み!

 

今回巡ったポイントと走行ルートです。8km足らずのショートトリップでしたが、のどかな海辺の町並みを存分に味わうことができました。気軽に行けない遠方の土地でも、自転車を持ち込むことで時間に縛られずに楽しめました。


 

* * *

 

今回の「ローカル駅からはじめる自転車散歩」は如何でしたか?日本には全国くまなく駅があり、輪行すれば「楽に長距離を」「比較的安価に」移動でき、天候や体調の急な変化や機材トラブルにも対応できます。今回利用したDAHON K3は、3段変速を装備しながらも本体重量7kg台を実現した14インチコンパクトフォールディングバイクの理想形とも言えるモデルで、輪行に最適な1台です。DAHONでは様々な折り畳み自転車をラインナップしていますので、走行機能と折り畳み機能のバランスを考えながら直感的な好みも含め、自分にあったモデルを選んでください。

DAHONでは様々な地方のローカルな鉄道駅を起点にした自転車散歩(ポタリング)記事を連載しています。更新時にはFacebookTwitterでお知らせしますので、ぜひフォローをお願いします。また「ローカル駅からはじめる自転車散歩」のInstagramアカウントもぜひチェックしてみてください。これまでの記事一覧は、こちらでご覧いただけます。

 

*使用車体
 DAHON / K3(Color:シャンパン×ブラック)2022年モデル

*この記事で紹介している情報は、2022年9月時点の取材に基づいています。
*歩行者のいるところや細い路地などは押し歩きや迂回するなど、マナー優先でサイクリングを楽しみましょう。

試乗会のお知らせ(Y's Road 名古屋本館)

 10月30日(日)、名古屋市中区錦のY's Road 名古屋本館で開催される「ミニベロ、折り畳み大試乗会」に出展しますので、お知らせいたします。


Y's Road 名古屋本館は、名古屋地区最大級規模の売り場面積を誇るスポーツバイク専門店。400坪の売り場面積にはジャンル別に取り揃えられた完成車が圧巻の台数で展示され、小径車や折り畳み自転車に詳しいスタッフも在籍されているため、質の高い接客対応をされています。またDAHONスペシャルパートナーズ店舗で県内トップクラスの取り扱い台数と販売実績もありますので、ご購入後のアフターメンテナンスもご安心です。

 今回の試乗/展示会では先日発表いたしましたK3限定カラーを展示いたします。さらに40周年記念モデルANNIVERSARY40も展示いたします。それぞれ実物を確認いただけるまたと無い機会になりますので是非ご来店ください。

日程:2022年10月30日(日)
時間:12時〜17時
   *日没状況により予定より早く終了となる場合がございます
場所:Y's Road 名古屋本館(ワイズロード名古屋本館) *Link → 店舗情報・アクセス
   愛知県名古屋市中区錦2-2-13 名古屋センタービル1F

試乗の際は顔写真付きの身分証明書をご提示ください。その他詳細はリンク先の告知ページをご覧ください。
*Link → Y's Road 名古屋本館 開催告知



当日ご用意するDAHONの試乗車/展示車は以下のとおりです。
*製品のカラー・仕様は都合により変更されることがあります。*車体画像クリックで拡大します。


ANNIVERSARY 40
各種カーボンパーツを仕様した世界 249 台限定の、DAHON 40周年記念 特別仕様モデル。 
Speeds:11
Weight:9.4kg
Wheel Size:20inch(ETRTO 451)





K3  Link→スペック等詳細
14インチコンパクトフォールディングバイクの理想形。3段変速を装備しながらも本体重量7kg台を実現。フレームへの負担を軽減させるDeltecテクノロジーを搭載。
Speeds:3
Weight:7.8kg
Wheel Size:14inch
Rider Height Range:142〜180cm
Folding Size:W65 × H59 × D28cm
Saddle to Pedal:Min 600mm Max 860mm

Color:アーミー *限定色
Color:ブラウン *限定色

*実際のカラーはY's Road 名古屋本館で実車をご覧ください。


DEFTAR デフター Link→スペック等詳細
ミドルグレードからリリースする軽量性が特長のモデル。様々なカスタムへの拡張性も高く、ベースモデルとしても使用可能。
Speeds:8
Weight:9.9kg
Wheel Size:20inch(ETRTO 406)
Rider Height Range:142〜193cm
Folding Size:W78 × H65 × D35cm
Saddle to Pedal:Min 690mm Max 940mm

試乗車Color:アッシュブルー


Speed Falco スピード ファルコ  Link→スペック等詳細
精悍なルックスのクロモリフレームモデル。クロモリ特有のしなりとETRTO451ホイールがもたらす快適且つ伸びのある走りは「Speed」の名に恥じない性能を発揮してくれる。
Speeds:8
Weight:12.0kg
Wheel Size:20inch(ETRTO 451)
Rider Height Range:142〜193cm
Folding Size:W82 × H66 × D36cm
Saddle to Pedal:Min 680mm Max 950mm

試乗車Color:ネオンホワイト


Mako マコ Link→スペック等詳細
2008年にリリースされたDashシリーズの原型となるモデル。DAHONの歴史でも貴重なノンフォールディングモデルであり、往年のモデルをベースとしつつも、ディスクブレーキ仕様にアップデート。軽量性と走行性能を合わせたハイグレードモデル。
Speeds:20
Frame Size:470cm
Weight:10.0kg
Wheel Size:20inch(ETRTO 406)
Rider Height Range:165〜175cm

試乗車Color:アイスブルー




*ご用意する試乗車/展示車は事情により、車種やカラーが変更になる場合があります。
*イベントの詳細についてはY's Road 名古屋本館の開催告知をご覧ください。

2022年10月11日火曜日

試乗会のお知らせ(サイクルショップ ナカゴヤ「秋の大試乗会」)

 10月16日(日)、神戸市のサイクルショップ ナカゴヤ主催「秋の大試乗会」がポートアイランド市民広場で開催されますので、お知らせいたします。


昭和27年創業、神戸 長田で60年以上営業されている信頼できるショップ「サイクルショップ ナカゴヤ」主催で、折りたたみ自転車・ミニベロ・eBikeを中心に10ブランド以上が集う秋の大試乗会が開催されます。DAHON製品をお買い求めの方にはご成約特典としてDAHONオリジナル輪行バックSlip BagもしくはSaddle bagをプレゼント!様々な自転車の試乗ができるこの機会に、これからの気持ちの良い季節の相棒として新しいバイクを探してみてはいかがでしょうか。皆さんのお越しをお待ちしております。

日程:2022年10月16日(日)
時間:10:00~17:00 *当日の天候に応じて変更される場合があります
主催:サイクルショップ ナカゴヤ
場所:ポートアイランド市民広場
   神戸市中央区港島中町6-9-2 *Link→アクセス

<開催店舗からのお願い>
※ご試乗いただく際には、身分証明書のご提示をお願いいたします。
※試乗は会場内にてお願いいたします。

 
当日ご用意するDAHONの試乗車は以下のとおりです。
*製品のカラー・仕様は都合により変更されることがあります。*車体画像クリックで拡大します。

K3  Link→スペック等詳細
14インチコンパクトフォールディングバイクの理想形。3段変速を装備しながらも本体重量7kg台を実現。フレームへの負担を軽減させるDeltecテクノロジーを搭載。
Speeds:3
Weight:7.8kg
Wheel Size:14inch
Rider Height Range:142〜180cm
Folding Size:W65 × H59 × D28cm
Saddle to Pedal:Min 600mm Max 860mm

試乗車Color:シャンパン×ブラック


Speed RB スピード RB  Link→スペック等詳細
待望のドロップハンドルモデルが久しぶりに登場。クロモリフレームの定番モデルとなる「Speed Falco」をベースに、ディスクブレーキを搭載し、走行性能を向上させたハイグレードモデル。
Speeds:20
Weight:12.0kg
Wheel Size:20inch(ETRTO 451)
Rider Height Range:142〜193cm
Folding Size:W82 × H66 × D56cm
Saddle to Pedal:Min 680mm Max 950mm

試乗車Color:メタル


DEFTAR デフター Link→スペック等詳細
ミドルグレードからリリースする軽量性が特長のモデル。様々なカスタムへの拡張性も高く、ベースモデルとしても使用可能。
Speeds:8
Weight:9.9kg
Wheel Size:20inch(ETRTO 406)
Rider Height Range:142〜193cm
Folding Size:W78 × H65 × D35cm
Saddle to Pedal:Min 690mm Max 940mm

試乗車Color:ディープレッド


Horize Disc ホライズ ディスク Link→スペック等詳細
仕様、デザインともに他モデルとは一線を画したディスクブレーキモデル。ETRTO451に匹敵する極太タイヤが高いエアボリュームで安定感と走行感をもたらしてくれるアクティブバイク。
Speeds:8
Weight:12.0kg
Wheel Size:20inch(ETRTO 406)
Rider Height Range:142〜193cm
Folding Size:W85 × H68 × D43cm
Saddle to Pedal:Min 780mm Max 1050mm

試乗車Color:スティールグレー


Speed Falco スピード ファルコ  Link→スペック等詳細
精悍なルックスのクロモリフレームモデル。クロモリ特有のしなりとETRTO451ホイールがもたらす快適且つ伸びのある走りは「Speed」の名に恥じない性能を発揮してくれる。
Speeds:8
Weight:12.0kg
Wheel Size:20inch(ETRTO 451)
Rider Height Range:142〜193cm
Folding Size:W82 × H66 × D36cm
Saddle to Pedal:Min 680mm Max 950mm

試乗車Color:マットブラック


Boardwalk D7 ボードウォーク D7  Link→スペック等詳細
鮮やかなカラーリングがクロモリフレームに映えるヨーロピアンスタイルバイク。洗練されたデザインと街乗りに適した使用感からはエントリーグレードを超えた喜びが得られる。
Speeds:7
Weight:12.5kg
Wheel Size:20inch(ETRTO 406)
Rider Height Range:142〜193cm
Folding Size:W78 × H65 × D34cm
Saddle to Pedal:Min 675mm Max 945mm

試乗車Color:チョコレート


Route ルート Link→スペック等詳細
エントリーモデルだからこそ誰もがブランドのエッセンスを感じられるように、上位モデルにも使用されるテクノロジーを採用。
手にした瞬間に期待を抱かせてくれるベストバイモデル。
Speeds:7
Weight:12.2kg
Wheel Size:20inch(ETRTO 406)
Rider Height Range:142〜193cm
Folding Size:W89 × H64 × D34cm
Saddle to Pedal:Min 685mm Max 930mm

試乗車Color:ルビーレッド


*ご用意する試乗車は事情により変更になる場合があります。
*イベントの詳細については、サイクルショップ ナカゴヤの告知ページをご覧ください。

2022年10月3日月曜日

ローカル駅からはじめる自転車散歩【JR北海道 函館本線 大沼公園駅】

 ゆっくり起きた予定の無い休日の朝、折り畳み自転車とともに列車に乗って、ふらっと思いのままにローカル駅で降りてみる。特別な観光地ではなく、普通に人が暮らし、働き、近所の公園で子どもが遊んでいる、なんの変哲もない町だけど、のんびり走ってみると、いろいろな発見や出会いがある。そんな、小径車だからこそのゆるい自転車散歩をお送りする連載記事。今回は、いつもの都心部を抜け出し北海道へ。函館本線の大沼公園駅からスタートします。


 

* * *

 

JR函館駅から函館本線で40分ほど。北海道南部にある大沼公園駅は1日の乗降客数は250人程度の単線駅です。しかしその歴史は古く、前進の臨時乗降場が設置されたのは1907年(明治40年)まで遡ります。


かわいらしい駅舎の大沼公園駅。みどりの窓口やコインロッカーもあります。

撮影の日、地元の方にお話を聞くことができました。

曰く、近年は電車の本数が減ったり、公園周辺地域への公的補助がなくなったりと、町が衰退するようなことばかり。それでもこの辺りはインバウンド需要で賑わっていたが、コロナ禍の打撃でいくつもの店が廃業してしまったとのこと。団体客を受け入れていた駅前の大きなレストランも、コロナ禍以降は休業中だそうです。

また、8月末にも長万部ー小樽間の廃止の方針が報じられましたが、北海道の駅がなくなるスピードにはすさまじいものがあります。駅逓所が鉄道に代わり、鉄道がバスになり、そのバス路線も廃止になり始めている北海道の交通の現状は、日本の山なりの成長曲線をはっきり示しています。

大沼にある山川牧場のミルクを使ったソフトクリーム。駅前のホテルなどでもいただくことができます。

この日走るのは大沼国定公園エリアにある、大沼一周サイクリングコース。駅前には観光客を狙ったレンタサイクル店がいくつかありますが、自分のロードバイクや小径車で走る人も複数見かけました。平坦なルートは一周14kmと距離も短めなので、何周もする人も多いようです。


5分ほどで駅前の賑わいを抜け、緑いっぱいの道に入ります。地面に落ちているのは……クルミ?


思わず「本当に?」と思ってしまう「通学路」の立て札。うらやましくもありますが。

ちょこちょこと駐輪場が設置されていて、近くにビュースポットがあることを示してくれています。

さっそく自転車を停めて、整備された道から沼のほうへ下ってみます。

すると目の前に広がる、大沼と北海道駒ヶ岳の絶景……!

語彙力を奪う眺め。わぁ~!

もともとは富士山のような整った山型(コニーデ型というらしい)だった駒ヶ岳ですが、度重なる大噴火で山頂が吹き飛ばされていまの形になったとのこと。噴火によって流れ出た泥流が周囲の川をせき止め、大沼・小沼・じゅんさい沼の3つの湖を作ったとされています。いまも活動期の活火山であることは、鋭く尖った山体からもなんとなく実感できます。

波打ち際にボトルが。お手紙でも入っているかと近づいてみると……

みんな大好きファンタグレープでした。ゴミは持ち帰りましょう。


クルマやオートバイでは聞こえない鳥のさえずりやセミの声を聞き、緑の香りや森に漂う動物のにおいを嗅ぎ、ゆっくり走っては何度でもペダルを止めて寄り道をする。これは確かにサイクリングにうってつけで、レンタサイクルが人気なのも頷けます。

そんなシチュエーションにあって、今回の相棒であるDAHON K3のさらなる圧倒的勝利を感じました。飛行機やバス、電車を乗り継ぐ輪行も苦にならない軽さと、カジュアル&ワイドな3段ギア。緩やかな坂もありつつぐんぐん漕ぎたい平坦路も多いので、道に応じてギアを変えられるのは心強い限りです。また、路面は少し荒れていたりいろんなものが落ちていたりするので、タイヤが細すぎないほうが安心して走れます。

大沼の湖底は土砂などの堆積物。風でかき混ぜられると濁りやすく、その分、空や山がくっきりと映るのだそう。

再び駐輪場を見つけたので、K3をスタンドに預けて木道を進んでみます。

木道に黄色い花びらが散っていて、木漏れ日と相まってとてもメルヘンな雰囲気です。



現場には写真以上の鬱蒼感があり、虫嫌いの方にはややオススメしづらいのも事実。山などで「耳元で不意のブーン」に遭遇することがありますが、あれで悲鳴を上げてしまうタイプの方はつらいかもしれません。

木道を彩るのはバレンギクの仲間でしょうか、黄色いハーブ系の花の周りでハチが忙しく働いていました。

木道の先に視界が開けると、再び駒ヶ岳が。今日はずっと、右に左に現れる駒ヶ岳とともに走る行程です。

踏切で止まってみると、線路の向こうにも「THE 北海道」な景色が広がっていました。

踏切の名前にもなっている「流山温泉」は2015年に廃業、同名の駅も2022年の3月に廃止となっています。


のぼりと木製の鳥居を見つけて立ち寄ったのは「駒ヶ岳神社」。噴火を繰り返す駒ヶ岳を鎮めるために1914年(大正3年)に建てられたもので、現在の場所には1973年に移されてきたそうです。

特筆すべきは境内にある大きな岩山です。

複雑な形をした巨大な岩。周囲にはロープが張られ、立ち入り禁止になっています。

山体崩壊を伴う大噴火により、大沼一帯は、崩落した火山体がなだれのように流れる「岩屑(がんせつ)なだれ」に襲われました。この岩屑なだれで残ったものが「岩屑なだれ堆積物」で、この辺りでは「流れ山」と呼ばれています。先ほど通過した踏切でも見たとおり、地名にも残っているのですね。

この神社の大きな岩もそうした噴火で生まれたもの。現地の看板によれば、石と火山灰のガラス質が溶け合った「溶結凝灰石」で、1641年(寛永17年)の噴火によるものだと伝わっています。

以前は岩石の下をくぐったり周囲の木道を歩いたりもできたようですが、2018年の落石によって現在は立ち入り禁止に。復旧の予定はなさそうで、自然環境を観光資源として整備し続けることの難しさも感じます。

しかし筆者と入れ違いに、地元の方らしき男性がお参りに来ている姿を目にしました。仕事の途中に立ち寄ったような様子もあり、地元で愛され続けているなら大丈夫、となんだか安心です。

あ、キツネが出るぞの標識!

鼻歌を歌いながら走っていると、道の脇のスペースに、地元ナンバーらしき車が複数停まっているのがふと目に留まりました。この辺り、何か面白いものがあるのかも……。ガードレールに自転車を預けて、車道から伸びる細い道を進んでみることにしました。

竹のような植物が茂っています。詳しくないのですがトクサってこれのことでしょうか。この先に一体何が――?

まぶしい!

ぽっかりと森が開けた先には、ゴムタイヤで立派な浮き桟橋が組まれていました。「うわ~!夢みたい!」と心の中ではしゃぎながらそっと足を踏み出すと、浮き桟橋が少しプカプカします。


釣り人のラジオからは軽妙なおしゃべりが聞こえていて、それが周囲の静けさをより強調しています。遠くに浮かぶ日傘を差した釣りボートも、なんだか西洋絵画の貴婦人のように見える……。あまりの穏やかな光景にちょっとクラクラしてしまいました。

「何が釣れるんですか?」とそっと声をかけると、釣り人は「ヘラブナとフナ、コイとかが釣れるんです」と教えてくれました。続けて「ヘラブナを狙っているんだけど、なかなか釣れないんだよね」とぽつり。難しいと聞きますもんね、がんばってくださいとお礼を言って先へ進みます。

電車はよく通りますが、その多くが貨物列車と特急です。愛らしい普通電車が見たければ時間を調べて狙うべし。

東西に長い湖の北側を走り、湖西側の函館本線沿いまで戻ってきました。線路と並走する道路は、その東をいま走ってきた大沼に、西側を小沼に挟まれています。


これはじゅんさい……ではなくスイレン。この公園では白のほかにピンクや黄色も見られるとのこと。

大沼公園駅に戻ったら、電車に乗る前にやりたいことがありました。

名物のお菓子をぜひいただいてみたかったのです。

パッケージ。

開けてみるとこんな感じ。小豆あんのほかに胡麻あんも選べます。

駅前には「大沼だんご」を売るお店がいくつかあります。お団子を串に刺さずにみたらしに浮かべているのは、湖面の浮島を模しているのだそう。明治創業のこちらを訪れた際はコロナ対応でテイクアウト販売のみ行っていて、お店の前のベンチでも食べられるようになっていました。

このお菓子、明治時代の北海道を舞台に青年とアイヌの少女が金塊を探して旅をする例の漫画にも登場して、さらに人気を博しているようです。

あんことしょうゆのダブル付けで実食。アイヌ語の「ヒンナヒンナ(おいしい)」を言ってみたくなります。

 

今回巡ったポイントと走行ルートです。約14kmの素敵な時間でした。江戸時代にはすでに遊覧船が走っていたというだけのことはあり、とくに観光地化されている大沼側の公園エリアは、船に乗っておいしいものを食べるだけならハイヒールでも楽しめそうです。公園内には複数ルートの散策路が整備されていますが、自転車通行は禁止なのでご注意を。筆者は自転車を置いて全散策路を制覇しましたが、小沼側の散策路「夕日の道」が自然に還りつつあるのにも一見の価値を感じました。自転車でも徒歩でもいろいろな楽しみ方があり、どのプランを選ぶかによって感じられるものが異なる大沼公園エリア。ぜひ時間をたくさんとって遊びに行ってみてください。お供にはやっぱり、アップライトなポジションで景色を見ながら走れる折りたたみ自転車がオススメです。


 

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今回の「ローカル駅からはじめる自転車散歩」は如何でしたか?日本には全国くまなく駅があり、輪行すれば「楽に長距離を」「比較的安価に」移動でき、天候や体調の急な変化や機材トラブルにも対応できます。今回利用したDAHON K3は、3段変速を装備しながらも本体重量7kg台を実現した14インチコンパクトフォールディングバイクの理想形とも言えるモデルで、輪行に最適な1台です。DAHONでは様々な折り畳み自転車をラインナップしていますので、走行機能と折り畳み機能のバランスを考えながら直感的な好みも含め、自分にあったモデルを選んでください。

DAHONでは様々な地方のローカルな鉄道駅を起点にした自転車散歩(ポタリング)記事を連載しています。更新時にはFacebookTwitterでお知らせしますので、ぜひフォローをお願いします。また「ローカル駅からはじめる自転車散歩」のInstagramアカウントもぜひチェックしてみてください。

 

*使用車体
 DAHON / K3(Color:シャンパン
×ブラック)2022年モデル

*この記事で紹介している情報は、2022年9月時点の取材に基づいています。
*歩行者のいるところや細い路地などは押し歩きや迂回するなど、マナー優先でサイクリングを楽しみましょう。