2022年8月15日月曜日

ローカル駅からはじめる自転車散歩【JR東日本 中央本線 千駄ヶ谷駅】

 ゆっくり起きた予定の無い休日の朝、折り畳み自転車とともに列車に乗って、ふらっと思いのままにローカル駅で降りてみる。特別な観光地ではなく、普通に人が暮らし、働き、近所の公園で子どもが遊んでいる、なんの変哲もない町だけど、のんびり走ってみると、いろいろな発見や出会いがある。そんな、小径車だからこそのゆるい自転車散歩をお送りする連載記事。今回は誰もが知っている地名『渋谷』がキーワード。暗渠になった渋谷川を辿ろうとJR千駄ヶ谷駅からスタートします。



 

* * *

 

『渋谷』の地名を知らないという人はおそらくいないでしょう。誰もが、知っている街ですが、そこに渋谷川という川が流れているのをご存じでしょうか。渋谷にはよくいくけれど、川なんて見たことがないという人もいるでしょう。それも当然といえば当然です。川はアスファルトの下を流れている、つまり暗渠となっているため、その流れを見ることはできません。(暗渠巡りは東急電鉄 目黒線 不動前駅の記事でも紹介しました。) 

暗渠となったのは高度経済成長を遂げてから。調べてみると、千駄ヶ谷駅近くの新宿御苑内の池が渋谷川の源流となるようです。今回のスタート地点をJR千駄ヶ谷駅として、その名残を探しながらサイクリングを楽しんでみようと思います。

公共交通機関を利用して自転車を運ぶことを輪行(りんこう)といいます。サイクリングや旅行の行程の一部を自走せずに鉄道、船、飛行機、バスなどを利用するもので、遠くへ移動したり、時間を短縮することができます。

新宿御苑は柵で囲われているため、千駄ヶ谷駅側から入場することはできません。ただ、歩き回っていると、不自然な道路の広がりを発見。このような地形は何らかの理由があるものです。工事現場に設けられた覗き穴の向こう側は用水路のようになっています。やはり、この下を川が流れているようです。

新宿御苑は有料ですし、そもそも自転車で入ることはできません。渋谷川の源流を目視で確認することはできませんでした。

不自然な歩道。このような不自然さは必ずといってよいほど理由があります。工事現場の向こう側を覗いてみれば、川が流れていました。この不自然さをさらに調べてみると、区境も理由となっているようです。

源流探しのために地図アプリを何度も見ていたところ、近くに神社を発見。暗渠巡りとは関係がありませんが、せっかくなので、訪問してみましょう。寄り道が気軽にできるのも自転車散歩の魅力です。

訪れたのは鳩森八幡神社。綺麗に整備された参道、関係者の明るい挨拶の声、そして、何よりも巨大な富士塚が参拝客を迎えてくれる神社です。サイクルラックもありますよ!


富士塚は富士山を模した山になっており、江戸時代では信仰の対象にもなっていました。今でも、東京の各所に残されています。鳩森八幡神社の富士塚は都内では最も古く、都指定有形民俗文化財にも指定されています。実際に登山することも可能です。せっかくなので、自転車を降りて、山頂を目指しました。


神社で今回の旅の無事を願い、渋谷川暗渠巡りに戻ります。ところが、暗渠らしい兆しがなかなか見つけられません。この千駄ヶ谷界隈は新国立競技場建設に合わせて、道路整備がかなり行われたので、名残が全くなくなってしまったのかもしれません。

路地裏を走っていると不自然なくらいにマンホールが並んでいます。これは地下水路がある(あった)証です。それに沿って、進むと、明らかに川が流れていると思われるような曲がりくねった道とぶつかります。さらに、進むと決定的な証拠が!

マンホールがたくさんある=地下に水が流れていることが多いです。


見つけました、親柱跡。道の端に残された親柱こそが、かつて、橋があった証です。親柱に刻まれた文字は原宿橋とありました。この辺りは裏原宿とも呼ばれていますが、橋名と地名の一致がみられました。



ここまで、私が走ってきた道は暗渠。写真撮影をしながら、往年の様子を想像していましたが、他の人は誰も気に留めていない様子。むしろ、道端に止まっていると邪魔になってしまいますので、自転車に乗り、暗渠巡りを続けます。

まるで蛇道、道がうねうねとしています。そして、突然に大通りにでます。明治神宮へとつづく、表参道通りです。交番横に石碑がありますが、よくみてみると、「参道橋」という記述を発見。昔は表参道に橋がかかっていたのがわかります。

参道橋の跡。横にある解説文によると、渋谷川は富嶽三十六景にも描かれた景観だったそうです。


参道橋がかつてあった場所の上に、現代では歩道橋がかかっていました。イルミネーション時期には多くの観光客が歩道橋上に立ち止まって写真撮影をするスポットとなっています。

参道橋を越えて先へ進むと、キャットストリートと呼ばれる通りです。この通りこそ、渋谷川の遊歩道跡で、道がくねくねしています。

川の土手跡でしょうか。側道となっているところが、おそらく暗渠で、キャットストリートが土手なのでしょう。


公園として利用されている箇所もありました。なぜ、道路の真ん中に公園があるのか謎でしたが、今回の自転車散歩でよくわかりました。

キャットストリートを抜けたところで、明治通りと合流して、渋谷川の暗渠に見える箇所も終わってしまいました。。。と思ったのですが、よくみると、その先に道が見えます。



近年、大改築が行われた宮下公園ですが、ここも渋谷川暗渠です。宮下公園の下で、川が流れています。宮川公園沿いは遊歩道ですので、自転車を押して進みます。そうすると、渋谷駅前のターミナルへでました。まさに現在大改築の途中で、ここには渋谷川の面影がありません。

渋谷川暗渠が駅の反対側に抜けているだろうと考えて、ぐるりと迂回して反対側へでます。そこで橋跡を見つけて、さらに下を除くと綺麗な水が流れています。ここは渋谷リバーストリート。渋谷川の暗渠区間が終わり、川が地表に現れる(つまり開渠になる)場所です。新宿御苑の大地から脈々と流れてきた暗渠はここで、地上に顔をだします。



上を見上げると、渋谷ストリームというビル。もう納得です。「ストリーム=小川」という意味ですから、この新しい商業ビル名は渋谷川に因んでいるのはいうまでもありません。

ここでネットを調べてみると、面白い情報が! 欅坂46というアイドルグループをご存じでしょうか。彼女たちのデビューシングル「サイレントマジョリティー」のMV制作やジャケット写真撮影はこの界隈で行われました。開発中の工事現場で撮影が行われたようです。また、このグループの曲に『渋谷川』があります。アイドルグループが暗渠とつながるというのは興味深いですね。


ここで、ちょっと寄り道第2弾。渋谷はその地名にある通り、谷底にある駅です。しよって四方八方どちらに進んでも坂道となりますが、今回は南東方向に坂を登ります。坂を登った先にあるのは金王八幡宮。ここの木陰でしばし休息をします。気温はすでに34度。

現代では金王八幡宮となっていますが、ここはかつての渋谷城。都会のビルの谷間に閑静な空間が広がっています。

城址を思わせるものは何かないものか探ってみましたが、石があるのみでした。

せっかく、ここまで渋谷川を巡ってきたので、暗渠が終わってからの先も探検したいと思います。渋谷川はは明治通り沿って流れていきますが、川沿いに道がほとんどありません。よって、明治通りを進んで、下流を目指します。

恵比寿橋。先に紹介した欅坂46の『渋谷川』の歌詞2番に登場します。

天現寺橋。首都高の出口もありますので、名前を知っている人も多いのではないでしょうか。天現寺橋までが渋谷川です。ここから先は古川と名前を変えます。また、区境でもあり、渋谷区から港区へかわります。

古川橋交差点。古川橋も欅坂46の『渋谷川』の歌詞1番に登場します。歌に登場する人は下流から上流へと歩いたのですね。いつのまにか川が濁っていました。渋谷リバーサイドウォークの開渠になった地点では、水を浄化するためにさまざまな対策を講じていたようです。せっかく綺麗にしたのに、ちょっと下流では汚水になっているのは残念です。

赤羽橋までたどり着きました。ここでふと見上げると、綺麗に東京タワーが見えました。東京タワー撮影スポットだと思うのですが、写真映えはいかがでしょうか。


さらに下流へ進むと、第一京浜とぶつかります。ここは旧東海道です。それもあってか、川沿いには屋形船が停泊しています。ここから東京湾まではあと少し。屋形船にのって東京湾で夕涼みをするのは風流に感じることでしょう。

第一京浜を越えると、ビル街にはいります。その先は日の出桟橋。いよいよゴール、渋谷川・古川の河口となります。川巡りをして、河口にたどり着くと、達成感でいっぱいに。

ゴール直前にもうひとつ。河口の直前に石垣跡を発見しました。旧芝離宮恩賜公園の南側ですから、先月ご紹介した外濠ではありませんが、この辺りにあった邸跡から発見された石垣のようです。


日の出桟橋に到着しました。今回利用した折り畳み自転車DAHON Visc EVOの色はスカイグレー。その言葉のモデルになったと思われるような紺碧の空と海が広がっていました。

ここで、恒例のコーヒー休息。サイクリング当日は気温35度を越える夏日。エネルギー補給のためにタコライスも追加しました。

 

今回巡ったポイントと走行ルートです。新宿御苑から河口まで渋谷川を辿る、約12kmの自転車散歩でした。川沿いをサイクリングというと、江戸川、荒川、多摩川などの河川敷を颯爽と走るイメージがあるのではないでしょうか。それはそれでとても気持ちが良いものですが、都会を流れる川をめぐるのも一興です。今回スタートした新宿御苑界隈は新国立競技場建設もあって小綺麗で、渋谷駅界隈はまさに開発中です。そして、いつのまにか川が用水路のようになっていき、最後は河口で開放感を感じられます。このように景観がどんどんと変わっていくのが都会の川巡りの魅力と言えるでしょう。


 

* * *

 

今回の「ローカル駅からはじめる自転車散歩」は如何でしたか?日本には全国くまなく駅があり、輪行すれば「楽に長距離を」「比較的安価に」移動でき、天候や体調の急な変化や機材トラブルにも対応できます。今回利用したDAHON Visc EVOは多目的で使える折り畳み自転車です。東京では突然の急坂があったり、赤信号に捕まってしまうことも多いです。このような上り坂やストップ&ゴーが多い道も20段変速でなんなく乗り越えることができます。DAHONでは様々な折り畳み自転車をラインナップしていますので、走行機能と折り畳み機能のバランスを考えながら直感的な好みも含め、自分にあったモデルを選んでください。

DAHONでは様々な地方のローカルな鉄道駅を起点にした自転車散歩(ポタリング)記事を連載しています。更新時にはFacebookTwitterでお知らせしますので、ぜひフォローをお願いします。また「ローカル駅からはじめる自転車散歩」のInstagramアカウントもぜひチェックしてみてください。

 

*使用車体
 DAHON / Visc EVO(Color:スカイグレー)2022年モデル

*この記事で紹介している情報は、2022年8月時点の取材に基づいています。
*歩行者のいるところや細い路地などは押し歩きや迂回するなど、マナー優先でサイクリングを楽しみましょう。

2022年8月11日木曜日

価格改定のお知らせ

 お客様各位

2022年8月11日

平素はDAHON社製品をご愛顧いただきありがとうございます。

この度弊社では、2022年8月17日(水)よりDAHON社製一部商品の価格改定を実施いたす運びとなりました。

すでにご予約をされており、入荷をお待ちのお客様はご予約された販売店へご確認をお願いいたします。

価格改定日:2022年8月17日(水)
対象商品および改定後価格:以下リストをご参照ください

 
<対象商品および改定後価格>

モデル名 改定前価格 改定後価格
税別価格 税込価格 税別価格 税込価格
K3 90,800円 99,880円 96,000円 105,600円
Dove Plus 81,000円 89,100円 82,000円 90,200円
Speed RB 198,000円 217,800円 改定なし 改定なし
Visc EVO 150,000円 165,000円 152,000円 167,200円
Deftar 113,000円 124,300円 改定なし 改定なし
Horize Disc 102,800円 113,080円 106,000円 116,600円
Speed Falco 90,800円 99,880円 96,000円 105,600円
Boardwalk D7 68,000円 74,800円 72,000円 79,200円
Hit 54,000円 59,400円 改定なし 改定なし
Mako 193,000円 212,300円 改定なし 改定なし
D-Zero 79,000円 86,900円 改定なし 改定なし
Calm 63,000円 69,300円 改定なし 改定なし

※ アクセサリー類の変更は別途掲載いたします。
※ 2022年8月17日(水)以降は、店頭表示価格及びWEB掲載価格は新価格となります。
※ すでにご予約/ご注文いただいている商品に関しましては、ご予約いただいた販売店へお問い合わせください。


入荷が不安定な状況も重ねてお詫びいたしますとともに、価格改定につきまして何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。

弊社といたしましては、引き続き品質・サービスの向上に努めて参る所存でございますので、今後とも末永くDAHON社商品をご愛顧賜りますようよろしくお願い申し上げます。

DAHON 日本代理店
株式会社アキボウ

2022年7月29日金曜日

「DOTCH?キャンペーン return 」 実施のお知らせ

 この度、以前に実施し好評いただきました「DOTCH?キャンペーン」の第2弾として「DOTCH?キャンペーン return 」実施しますので、お知らせいたします。


この度DAHONでは、新型コロナウィルス収束の兆しが見えない中、ライフラインの一つであり、密を避けながらの健康維持にも有効な自転車を1人でも多くの方にお届けすることを目的に、今回はHitをご成約されたお客様を対象とした人気アクセサリープレゼントキャンペーンを実施いたします。「Hit」は、「Hit the pandemic」=「パンデミックに打ち勝つ」という思いから、Routeに変わるエントリーモデルとして今春ラインナップされたモデルです。ぜひDAHON Hitを活用してこの夏を健康的に乗り切り、また秋からの気候の良い季節に快適なサイクルライフをお送りください。

 
DOTCH?キャンペーン return

実施期間:
 2022年8月1日(月)~8月31日(水)
実施内容:
 期間中にDAHON Hitをご購入の方にDAHONオリジナル輪行袋『Slip Bag 20"』もしくはフロントバスケット『EZ Basket』のどちらか1点をプレゼント。
実施店舗:
 国内のDAHON正規販売代理店 *Link → 2022DEALERS

※国内のDAHON正規販売代理店全店が対象となりますが、一部販売店ではキャンペーンの受付が出来兼ねる場合があります。詳細はご購入を検討されております販売店へご確認いただきますようお願いいたします。


ご成約プレゼント-1:Slip Bag
DAHONオリジナルの輪行袋。
車体全体を覆い、ファスナーで閉じる形状のため、タイヤやシートポストが飛び出ることがなく、公共交通機関を利用しての輪行にもご利用いただけます。使用しない時はコンパクトに畳み、シートポストやハンドルバーに取り付けておくことができます。


ご成約プレゼント-2:EZ Basket 
DAHONオリジナルのフロントバスケット。
Vブレーキに対応していて、使用しない時はワンタッチでバスケットのみ取り外すこともできます。サイズはW346 × D235 × H190mmなので、ちょっとしたお出かけの際に荷物を入れておくのにちょうどいいサイズ感。




対象モデル:Hit
街乗りに十分な 6 段変速に加え、前後フルフェンダーとスタンドを標準装備、ハンドルポストは家族での共有にも便利な可変式。
*Link → スペック等詳細

Color:マットブラック


Color:ルビーレッド


Color:ティールブルー


Color:バーントメタル


Color:ホワイト


*リアラック(Ultimate Rack 20”)は別売りです


*リアラック(Ultimate Rack 20”)は別売りです


*別途費用(送料・工賃等)が必要となる場合がありますので、詳細は購入店へご確認下さい。
*他のキャンペーンとの併用はできません。
*当キャンペーンは予告なく内容を変更または終了する場合があります。あらかじめご了承ください。
*当キャンペーンの詳細については最寄りのDAHON正規販売代理店までお問い合わせ下さい。

2022年7月28日木曜日

AbuGarcia × DAHON:アブガルシア「おかっぱりキャンペーン」のお知らせ

 スウェーデンの総合釣具メーカー「アブガルシア」のロゴ入りDAHON Hitなどが抽選で当たるキャンペーンが開催されますので、お知らせいたします。


100年にわたり、世界中のアングラーから敬意と共に選ばれ続けるブランド「アブガルシア(AbuGarcia )」では、2022年8月1日より「アブガルシアの釣り人応援キャンペーン第二弾 おかっぱりキャンペーン」を開催。対象製品を購入したレシートをLINEで送るだけで、AbuGarciaロゴ入りDAHON Hitが10名に、Hydro Flaskのステンレスボトルが50名に抽選で当たります。タックル購入の予定がある方はぜひご応募ください。

応募方法:
 アブガルシア公式LINEをお友だち登録し、期間中にアブガルシアの対象商品を購入した際のレシートを撮影して送信
レシート有効期間:
 2022年7月22日(金)〜9月18日(日)
応募期間:
 2022年8月1日(月)〜9月18日(日)

*詳しい応募方法は、ピュア・フィッシング・ジャパンおよびアブガルシアの各SNS(Facebook / Twitter / Instagram)をご覧ください。

 

賞品のDAHON Hitは、3ステップの操作で直感的に、誰でも簡単に折り畳めるフォールディングバイク。釣りのシーンに折り畳み自転車があれば、駐車場からの移動、ポイントを探しながらの移動などに便利です。ぜひDAHONの自転車を活用して、ランガンスタイルで釣果UPを目指してください。

画像の自転車は賞品とは異なるモデルです。

賞品のベース車体はこちら。

Hit ヒット
「Hit the pandemic」=「パンデミックに打ち勝つ」
コロナウィルスが世界的に猛威を振るい、自転車ニーズの高まりから車体の安定供給が困難な状況が続く中、ライフラインの一つでもある自転車を1人でも多くの人に届けたいという想いを込めて誕生したモデル。街乗りに十分な 6 段変速に加え、前後フルフェンダーとスタンドを標準装備、ハンドルポストは家族での共有にも便利な可変式。
画像はベース車体です。賞品車体はAbuGarciaロゴ入り特別仕様となります。

 

*関連Link
 ・AbuGarcia ブランドサイト(ピュア・フィッシング・ジャパン)
 ・DAHON ブランドサイト(アキボウ)

*キャンペーンの詳細についてはピュア・フィッシング・ジャパンまでお問い合わせください。

2022年7月25日月曜日

ローカル駅からはじめる自転車散歩【東急電鉄 東急多摩川線 矢口渡駅】

 ゆっくり起きた予定の無い休日の朝、折り畳み自転車とともに列車に乗って、ふらっと思いのままにローカル駅で降りてみる。特別な観光地ではなく、普通に人が暮らし、働き、近所の公園で子どもが遊んでいる、なんの変哲もない町だけど、のんびり走ってみると、いろいろな発見や出会いがある。そんな、小径車だからこそのゆるい自転車散歩をお送りする連載記事。今回は東急電鉄 東急多摩川線 矢口渡駅を起点に、自転車散歩をしながらテナガエビ釣りもするという、趣味二刀流的なポタリングレポートをお届けします。


 

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自転車の素晴らしいところは、乗って移動することそれ自体が非常に楽しいに留まらず、釣りや有名建築巡りなど、他の趣味の相棒としてもとても便利に使えることだと思います。野球のバット、テニスのラケット、Nintendo Switchのプロコン、オオクワガタを大きく育てるための菌糸ビンなど、趣味の道具をあれこれ思い起こしてみても自転車のような万能アイテムはなかなか思いつきません。そこで今回は、多摩川下流域でのテナガエビ釣りを題材に、道具としての自転車の魅力を探る輪行および釣行レポートをお届けしたいと思います。

というわけでやってきたのは東急多摩川線 矢口渡(やぐちのわたし)駅。この駅を出発点に選んだ理由は、多摩川のテナガエビポイントに近いのがひとつ。もうひとつは釣りマンガの金字塔「釣りキチ三平」ゆかりの駅だからです。釣りキチ三平の作者、故矢口高雄氏の本名は高橋高雄というのですが、デビュー当時この矢口渡駅近くのアパートに住んでいたことから矢口高雄というペンネームになったそうです。釣行(&輪行)レポートの出発点として、ピッタリな駅だと思いませんか。

近くを流れる多摩川に、昭和24年まであった渡舟場「矢口の渡し」が駅名の由来です。よく似た地名に細川たかしさんの演歌で有名な「矢切の渡し」がありますが、あちらは江戸川を渡る渡し船で、葛飾区柴又と千葉県松戸市矢切をつなぐ渡しです。

残念ながら矢口渡駅周辺に釣りキチ三平に関する案内版や銅像などは一切ありません。下の写真は事前に古本屋さんで買ってきた文庫版の釣りキチ三平。主人公三平三平(みひらさんぺい)のように、たくさん釣れることを願って矢口渡駅を出発します。

三平の2歳年上の幼馴染ゆりっぺ。キャスティング大会編で三平に試合では勝つものの勝負には負けてしまう離島の少年鮫島仁。魅力的な登場人物の多いマンガでした。

矢口渡駅から南に走って約5分、多摩川河川敷に到着。下の写真の真ん中ちょい左あたりに小さな物置がありますが、この物置の裏に矢口の渡し跡の案内板があります。自転車を停めている舗装路は多摩川サイクリングロード(多摩サイ)。日曜日なので、たくさんのサイクリストたちが通り過ぎていきます。

今回のパートナーは20インチの極太タイヤを装着した「DAHON Horize Disc」。舗装されていない河川敷を走ることになりそうな今回のポタリングも、コイツが相棒なら安心です!

矢口の渡し跡の案内板。江戸時代、多摩川には一番上流の沢井の渡し(青梅市)からもっとも河口に近い羽田の渡し(東京都大田区)まで全部で39の渡し船があったそうです。多摩川の渡しを巡る自転車散歩というのも面白いかもしれません。

矢口の渡しがあった川べりから対岸の川崎方面を撮影。写真の橋は多摩川大橋。昭和24年にこの橋ができて、矢口の渡しは廃止となりました。

多摩川大橋の川崎側のテトラ帯は多摩川テナガエビポイントのひとつです。橋の上から覗くとテナガエビを釣っている人がチラホラ。早速橋の下に降りて、釣果を拝見したいと思います。

河川敷に広がるのは川崎リバーサイドパークというゴルフ場です。

橋の下に降りると10人ほどの釣り人が思い思いのスタイルで釣りをしていました。


川べりに置いてあったバケツを覗くとテナガエビが15匹ほど。多摩川に限っての話かもしれませんが、テナガエビは釣れる日は釣れるけど、釣れない日はまるで釣れないという、釣りテクより潮目と天候に左右される釣り。今日はテナガエビ日和かもしれません。

テナガエビは北海道を除く日本全国の淡水・汽水域に生息している身近な生き物です。ハゼと同じように夏の小物釣りの対象として、昔から多くの釣り人に愛されています。

このオジサンが上の写真のバケツの持ち主です。なかなかの達人で、3本の置き竿で次から次にテナガエビを釣り上げていました。竿はテナガエビ釣り用に自作した極軟調竿で、エサは赤虫を使っていました。今日の目標は50匹だそうです。

 釣り上げたテナガエビは素揚げにして食べるそうですが、オジサンは甲殻類アレルギーで、家族で自分だけ食べられないそうです(涙)

今日は釣れそうだ!という期待を胸に、次のテナガエビポイント「六郷テトラ帯」に向かいます。

多摩川沿いの道は途中から砂利道に。でも極太タイヤのHorize DISCだからまったく問題なし!

砂利道の次は、雑草だらけの野道に突入!それでも極太タイヤのHorize Discだからまったく問題なし!(くどいですね、スミマセン)

未舗装の多摩川べりを走ること10分(距離にして3キロ弱)。多摩川でもっとも有名なテナガエビスポット「六郷テトラ帯」に到着!日曜日ということもあり、たくさんのテナガエビアングラーたちで賑わっています。

手前の橋がJR京浜東北線多摩川橋。ひとつ向こう側の橋がJR東海道本線六郷川橋梁。さらにもうひとつ向こう側にあるのが京浜急行多摩川鉄橋です。3つともシンプルな形状のトラス橋です。

京浜東北線と東海道本線の間から撮影。なかなか壮観です。

頭上を断続的に通りすぎる列車の轟音をものともせず、テナガエビ釣りに興じる釣り人たち。

京急線の下流側に移動。ここでもたくさんの釣り人がテナガエビを釣っています。

あちこち移動しながらテナガエビの釣れ具合を観察していましたが、釣れ加減はそこそこという感じ。今日のところは最初の多摩川大橋の方が釣れていたように思います。というわけで、もうひとつ下流側のテナガエビポイント「味の素前」に移動したいと思います。釣れる場所を探し求めて気軽に移動できるのが自転車釣行の良いところです。

六郷テトラ帯から味の素前に向かう途中には経済産業省が認定した近代化産業遺産であり、国登録有形文化財でもある「川崎河港水門」があります。川崎市を縦断する大運河計画によって昭和3年に完成したものの、その後計画は中止になり水門だけが残されたというちょっともったいない文化遺産です。

多摩川の川べりから撮影した川崎河港水門。

陸地側から撮影した川崎河港水門。頭頂部にブロッコリーのような装飾が施されていますが、これは当時の川崎市の名産であった葡萄、桃、梨をイメージした装飾だそうです。

川崎河港水門から走ること数分。本日3か所目のテナガエビポイント「味の素前」に到着!釣り人が少なく、落ち着いて釣りができそうな雰囲気です。ここでテナガエビ釣りに挑戦してみたいと思います。

味の素前の名称の由来は、すぐ裏手に広大な味の素川崎工場が広がっているからです。

自宅からリュックサックに入れて持ってきた釣り竿と仕掛け。釣竿は1500円ほどで買った長さ120センチののべ竿。たたむと35センチぐらいなので携帯性もバツグン。仕掛けは釣具屋さんで買った220円のテナガエビ用のセットです。

テトラポッドの隙間を狙うテナガエビ釣りには90〜150センチぐらいの短竿がオススメです。

エサはミミズ。釣る場所を決めたら近くの釣り具屋さん(川崎駅前の上州屋さん)までエサを買いにひとっ走りしようと考えていたのですが、川沿いの道をちょっと探してみたら、地面に這い出してきて干からびつつあったミミズがいたので、それを捕まえて利用することにしました(苦手な方も多いと思いますので白黒写真にしています)。

テナガエビ釣りのエサは、赤虫とミミズが定番です。赤虫の方が釣れるみたいですが、エサ持ちが悪いので初心者はミミズの方が楽ちんです。ミミズはハサミで1センチぐらいに切って使います。

早速、テトラポッドの隙間に仕掛けを投入。丹念に隙間を探っていきます。

足場の悪いテトラポッドの上、カメラを落としたら100パーセント水没という状況で釣りながら写真を撮る。ひとり取材は大変です。

釣り開始からほんの5分で、幸先よく一匹目をゲット!そこそこのサイズのオスのテナガエビです。

本当は釣り上げてハリにかかった状態のテナガエビの写真を撮りたかったのですが、バラシてしまっては元も子もないし、足場も悪いし…。いまいち躍動感のない写真で申し訳ありません。

その後すぐに2匹目を釣り上げて、この調子だと10匹ぐらいは楽勝かも…と思ったところでハプニング発生!!!細切れにしたエサのミミズをペットボトルのフタに入れて護岸壁の上に置いていたのですが、カニ取りの少年たちがやってきて、そのフタを蹴っ飛ばしてしまったのです(涙)。

貴重なエサを失い、もう一度干からびたミミズを探して釣りを続行するかどうか迷いましたが、釣り上げた2匹のテナガエビを生かしたまま持ち帰り、素揚げにして食べるところまでレポートしたい!というなぞの記者魂が湧き上がってきて、結果、釣り開始からわずか15分ほどであっけなく納竿することにしました。(う〜ん、せっかくテナガエビの巣窟的なポイントを見つけたのに…残念…無念…)

とにもかくにも、こちらが釣り上げた2匹のテナガエビです。麦茶ポットを改造した自作のクーラーボックス(保温機能はありませんが…)の中に入れています。


酸欠と水温の上昇にきわめて弱いテナガエビを生きたまま持ち帰るには、クーラーボックスと保冷剤と電池式携帯エアーポンプが必需品です。今回は輪行による釣行で、クーラーボックスを持ち運ぶのは無理があります。そこで、クーラーボックス代わりの改造麦茶ポットを持ってきたのです。こいつを利用してなんとかテナガエビを生きたまま持ち帰りたいと思います。

この改造麦茶ポットですが、1)スーパーで買った麦茶ポット(容量3リットル/約300円)のフタにキリとプラスドライバーで穴をあけ、2)その穴に電池式携帯エアーポンプのチューブを通し、3)水漏れを塞ぐためフタの内側にマスキングテープを巻き付けカッチリ閉まるようにする、という手順で作っています。ポットの中の赤い網は、ミカン用のナイロンの網です。テナガエビは何かにつかまって体を固定していないとストレスを感じて弱ってしまうので、足場代わりに入れています(洗濯ネットでも代用できます)。

それと大切なことを書き忘れていました。生きたまま持ち帰るのは、調理の前に泥抜きをする必要があるからです。24時間ほど絶食させて胃腸の中を空っぽにしないと都会のテナガエビは泥臭くて食べられないのです。

麦茶ポットをリュックサックに収納しました。このままではあっという間に水温が上がるので、急いで氷を手に入れる必要があります。


背中のテナガエビに気を使いながら慎重に自転車を漕いで約5分、イトーヨーカドー川崎港町店に到着。大急ぎでロックアイスと保冷バッグを購入します。

汗まみれの身体に、館内の冷房が気持ちよかったです。

300円で買った保冷バッグ。中にロックアイスと改造麦茶ポットが入っています。これでとりあえず一安心です。


本日の持ち物はこんな具合です。保冷バッグはリュックサックの中に入っています。それ以外に釣り竿、仕掛け、輪行バッグ、予備のマスクです。輪行バッグ等は水漏れしても大丈夫なようにジップロックの中に入れています。


テナガエビの延命措置が完了したので、あと少し自転車散歩を続けてみたいと思います。

京急大師線鈴木町駅。以前は「味の素前駅」という名称でした。味の素川崎工場の正門前にあり、敷地の一部は工場の中にあります。踏切の向こう側に広がる広大な工場のそのまた向こう側に多摩川があり、先ほどまでそこでテナガエビを釣っていました。

鈴木町駅から点々と続くなぞの足跡。足跡を辿っていくと…


味の素うま味体験館に到着。さきほどの足跡は味の素のコーポレートキャラクター「アジパンダ」の足跡でした。

味の素うま味体験館では予約制で工場見学を受け付けています。味の素コース、本だしコース、クノールスープコースの3つの見学コースが用意されています。

そしてようやく今回の輪行&釣行のゴール地点である京急大師線の港町(みなとちょう)駅に到着。先ほどの鈴木町駅から港町駅までは約750メートルの距離。自転車ならあっという間です。


港町駅は、以前は「コロムビア前駅」という名称でした。すぐ近くにあった日本コロムビア川崎工場がその由来です。日本コロムビア川崎工場は2007年に閉鎖されましたが、駅前には日本コロムビアに所属されていた美空ひばりさんの写真と彼女のヒット曲「港町十三番地」の歌碑が設置されています。

美空ひばりさんの「港町十三番地」、森進一さんの「港町ブルース」、八代亜紀さんの「おんな港町」など、港町演歌には名曲が多いと思いませんか? 

発売当時のレコードジャケット。写真左上の白いボタンを押すと少しだけ曲が流れます。

 

[おまけのテナガエビ調理レポート]

自転車散歩の記事は港町駅でおしまいですが、テナガエビの釣行レポートは調理レポートに名前を変え、もう少し続きます。

帰宅後バケツに開けたテナガエビ。残念ながら1匹は死んでしまいました。酸素と水温に気を使っても、ハリを外すときに傷つけてしまうのか、環境が急に変わるストレスのせいなのか、1/3程度は死んでしまいます。

死んでしまったテナガエビは庭の片隅に埋葬させていただきました。合掌。

生き残ったテナガエビは、水を2〜3回交換しながら、24時間かけて泥抜きをします(エアーポンプは付けたまま、保冷剤も必須です。交換する水は水道水でOK、カルキ抜きは不要です)。下の写真は24時間後、泥抜き完了のテナガエビです。

ピンピン生きています。

泥抜きが終わったら、料理酒の中に浸して(酒締め)、粗塩をもみ込んで体の表面の汚れを落とし、きれいに水洗いした後、素揚げにします。下の写真が素揚げにしたテナガエビ。ビールにぴったりの素朴な味です。

1匹だと物足りないですね。

酒締め中のテナガエビの動画(約20秒)を載せておきます。在りし日の元気なテナガエビの雄姿をぜひご覧ください。料理酒に浸しているので、途中からヘロヘロになっていきます。


[おまけのテナガエビ釣り情報]

今回は多摩川でのテナガエビ釣りを紹介しましたが、テナガエビは日本全国の汽水域(淡水と海水が混じるところ)で簡単に釣ることができます。首都圏だと多摩川のほか、江戸川、荒川、相模川、利根川など。愛知だと木曽川、矢作川。大阪だと淀川が有名ですが、そういった大きな川以外にも、有名な釣り場はたくさんあります。「テナガエビ 地名」で検索すれば、地元の釣り場が見つかるので、興味のある方はぜひ検索してみてください。

テナガエビの釣りシーズンは、5月から8月までです。6・7月がハイシーズンで、8月になると大型の個体が増えますが数が減ります。夏の釣りなので、熱中症にはくれぐれもご注意ください。あと、テトラポッドの上はすべりやすく、こけると思わぬ大怪我につながることがあります。足元にも細心の注意を払うようお願いします。

 

今回巡ったポイントと走行ルートです。約9kmの自転車散歩&釣行でした。


 

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今回の「ローカル駅からはじめる自転車散歩」は如何でしたか?日本には全国くまなく駅があり、輪行すれば「楽に長距離を」「比較的安価に」移動でき、天候や体調の急な変化や機材トラブルにも対応できます。さらにスタートとゴール地点は同じ場所でなくてもよいので、走行経路は自由に組み立てることができます。今回利用したDAHON Horize Discは砂利道も野道も畦道も気にせず走ることができるヘビーデューティーな折り畳み自転車で、自転車釣行のパートナーにはぴったりです。皆さんもDAHONの折り畳み自転車(フォールディングバイク)を持参して、自転車散歩の愉しみはいかがでしょうか。DAHONでは様々な折り畳み自転車をラインナップしていますので、走行機能と折り畳み機能のバランスを考えながら直感的な好みも含め、自分にあったモデルをお選びください。

DAHONでは様々な地方のローカルな鉄道駅を起点にした自転車散歩(ポタリング)記事を連載しています。更新時にはFacebookTwitterでお知らせしますので、ぜひフォローをお願いします。また「ローカル駅からはじめる自転車散歩」のInstagramもぜひチェックしてみてください。

 

*使用車体
 DAHON / Horize Disc(Color:カーキ)2022年モデル

*この記事で紹介している情報は、2022年6月時点の取材に基づいています。
*歩行者のいるところや細い路地などは押し歩きや迂回するなど、マナー優先でサイクリングを楽しみましょう。