2023年8月16日水曜日

ローカル駅からはじめる自転車散歩【JR東日本 京浜東北線 蒲田駅】

 ゆっくり起きた予定の無い休日の朝、折り畳み自転車とともに列車に乗って、ふらっと思いのままにローカル駅で降りてみる。特別な観光地ではなく、普通に人が暮らし、働き、近所の公園で子どもが遊んでいる、なんの変哲もない町だけど、のんびり走ってみると、いろいろな発見や出会いがある。そんな、小径車だからこそのゆるい自転車散歩をお送りする連載記事。今回はJR蒲田駅を起点に、ポタリングついでにひとりバーベキューも楽しむという、孤独のグルメ自転車編のようなレポートをお届けします。


 

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以前から気になっていた羽田可動橋を見に行こうと、スタート地点をJR蒲田駅に決め、周辺の観光スポットをあれこれ調べていたら、京浜島つばさ公園という海際の公園に、無料かつ予約なしで利用できるバーベキュー広場があるという情報を発見。これはもう、行って、焼いて、食うしかないでしょう!とひとり静かに決心した夜から数週間後のとある平日の朝、ソロバーベキューの道具を入れたリュックサックを持って、やってきましたJR蒲田駅。平日にしたのは、家族連れや大学生ぐらいのグループで賑わうバーベキュー広場の中で、ひとり黙々と肉を焼いて食べるのは少々恥ずかしかったからです。こんな気持ち、わかっていただけますでしょうか。

では早速、輪行レポートを始めたいと思います。

ローカル駅というにはあまりに人の多いJR蒲田駅の駅前をそそくさと離れ、人通りの少ない場所で自転車をパパっと組み立て、まずは羽田可動橋を目指して走ります。今回使用するのはディープレッドのDAHON DEFTER。ポタリングから長距離ツーリングまでなんでもいける20インチの折り畳み自転車です。

JR蒲田駅は隣接する東急蒲田駅と合わせると一日の乗降客25万人というマンモス駅。羽田空港が近いこともあって周囲にはビジネスホテルが立ち並び、駅を中心に繁華街が広がっています。ちなみにJR蒲田駅の発車メロディは「蒲田行進曲」。この歌はもともと昭和9年まで蒲田にあった松竹キネマ蒲田撮影所の所歌だそうです。

走り始めて約10分。ふと見上げるとキネマ通り商店街という懐かしい感じのする看板がありました。蒲田に昔あった、松竹キネマ蒲田撮影所の名残りに違いないと思って調べたところ、それとはまったくの無関係で、この近くに蒲田キネマという小さな映画館があったことが名前の由来でした。う~ん、ややこしい。


キネマ通り商店街には、ノスタルジックな雰囲気の商店建築がたくさん並んでいます。レトロ商店街が好きな方にはぜひおすすめしたいポタリングエリアです。

写真の勉強堂さんはいったい何屋さんだったのでしょうか?

蒲田の街を西から東に流れる呑川(のみがわ)。羽田可動橋は呑川の河口近くにあります。映画「シン・ゴジラ」で幼生形態のゴジラがプレジャーボートをなぎ倒しながら遡上したのがこの呑川です。


海沿いの護岸壁に突き当たりました。海沿いと言っても、正面に昭和島や京浜島といった埋め立て地が広がるので、海感はまるでありません。

写真左の高架橋は首都高羽田線。写真右側の大きな木が繁っている敷地は森ヶ崎水再生センター。森ヶ崎水再生センターは日本最大の下水処理場だそうです。

森ヶ崎水再生センターの外周路は「海辺の散策路」という名称で整備されていて、のんびりポタリングするには最高です。すぐ横を首都高羽田線が走り、そのもうひとつ海側を東京モノレールが走っています。写真をよ~く見てください。高速道路の手前側の車線が通行止めになっているのがわかりますでしょうか。この通行止めの車線の先に羽田可動橋があります。


高速道路が唐突に途切れたと思ったら、目の前に羽田可動橋が現れました。


羽田可動橋は旋回橋に分類される可動橋です。京都府の天橋立にある廻旋橋、大阪湾に架かる夢舞大橋も旋回橋です。可動橋には橋梁を跳ね上げる跳開橋という分類もあり、墨田川に架かる勝鬨橋(かちどきばし)が有名です。


少し遠くから見た羽田可動橋。1990年から1998年までの8年間、首都高羽田線の迂回路として使用されていたのですが、首都高湾岸線が開通して交通量が減ったことにともない、使用停止となりました。

旋回する高架橋は2つあります(写真中央と写真右)。

羽田可動橋見学を終え、お腹もいいかんじに減ってきたので、京浜島つばさ公園バーベキュー広場に向かいたいと思います。

海辺の散策路で見つけたプレミアム感のある二人掛けベンチ。

蒲田の海寄りの地域には路地と道路の中間のようなポタリング向きの道がたくさんありました。

バーベキュー広場に行く前に立ち寄った大島精肉店さん。こちらでバーベキュー用のお肉を調達しました。


黒毛和牛上カルビ焼肉用と黒毛和牛上ロース焼肉用を購入。めっちゃ旨そうなお肉です。暑さで傷む前に早く食べないと!


大島精肉店さんのすぐ横に旧羽田道と書かれた道標がありました。どんな道なのか、どこに通じているのか。いつもならとりあえず走ってみるところですが、今は頭の中が買ったばかりのお肉でいっぱいなので行きません。

いつか走ってみたい道。

近くのコンビニで冷凍むぎ茶をゲット。これでリュックサックの中のお肉を冷やします。少し気持ちに余裕ができました。


大森東避難橋。手前が陸地側、向こう側が埋め立て地の昭和島です。バーベキュー広場のある京浜島は昭和島のもうひとつ先にあります。地面に描かれた矢印のようなデザインにしたがって、先に進みます。


昭和島の外周道路から見上げた東京モノレールの架線。カッコいい鉄道写真が撮れるかもと思って待つこと5分……


来たーと思ってシャッターを切ったら、手前にマイクロバスが写り込んでしまいました。なかなか思うようにいかないのが鉄道写真です。



昭和島→京和橋→京浜島と走り抜け、ようやく京浜島つばさ公園のバーベキュー広場に到着。正面に見えるのは羽田空港です。

テラスや舗装路でのバーベキューは禁止。バーベキューができるのは芝生の上だけです。もちろん直火は禁止です。

自宅から持ってきたソロバーベキューセット。左から塩、コショウ、カセットガス、100円ショップで購入した鉄板とトング、その後ろがイワタニのジュニアコンパクトバーナーです。


紹介を忘れていました。100円ショップで買った焚火シートも持ってきました。芝生を傷めないようねんのために敷いておきます。


まずは上カルビ。


次も上カルビ。


その次は上ロース。


焼いては食べ焼いては食べを数回繰り返し、腹ペコだったお腹も満たされたので、ここで「自転車でソロバーベキュー」がひと目でわかる写真を撮ることに。でもこれが難しかった……。

自転車を近づけると、なんだかわざとらしい写真になるし……


焼いている肉を撮るにはレンズを下向きに構える必要があり、そうすると自転車は下の方しか入らないし……


肉を焼きつつあーでもないこーでもないと試行錯誤すること約5分、下の写真が自分のカメラ力の限界でした。


バーベキューを終え、持ってきた道具を片付けて、ポタリングに戻ります。蒲田周辺にはあと2か所行きたいところがあるのです。

イワタニのジュニアコンパクトバーナーはその名の通りコンパクトなのはもちろん、燃料の入手が比較的簡単なところが気に入っています。

蒲田の北にある大森エリアは海苔養殖発祥の地。海苔の養殖は昭和30年代後半に幕を閉じたそうですが、大森には今でも50件近くの海苔加工問屋さんがあり、全国の産地から集まってきた海苔を加工して出荷しています。というわけで、次の目的地は大森にある海苔加工問屋さん。そこで海苔を買って、どこかの公園で食べてみたいと思います。

大森の街中を流れる内川。昭和の初めのころはたくさんの海苔船が往来していたそうですが、現在その面影はまったくありません。写真は内川水門。高潮から大森の街を守る防潮水門です。

内川に架かる浜辺橋の欄干には、海苔養殖が盛んだったころの大森の風景が描かれています。

Googleマップを頼りに海苔加工問屋を探し訪ねていきます。最初の2軒は一般の人に直売している雰囲気がなくパス。3軒目に辿り着いたのが下の写真の五味商店さん。工場直売の看板があったので、早速建物の中に入ってみます。


事務所の中ではたくさんの種類の海苔が売られていました。建物の2階で海苔を焼いているそうで、事務所に入った途端、海苔を焼く香ばしい匂いがしました。


「佐賀産は甘くて美味しいですよ~」と事務員さんに薦められて買った佐賀海苔。10枚入りで450円(税別)。佐賀産といっても、焼いたり切ったり袋詰めにしたりといった加工は五味商店さんの2階です。


五味商店さんから走って5分の大森ふるさとの浜辺公園で海苔をいただきました。旨かった~

後ろの建物は大森海苔のふるさと館。入場無料で、大森の海苔の歴史が学べます。

歴史ある海苔を堪能し、本日最後の目的地に向かいます。最後の目的地は大田区東六郷にある七差路。三差路(T字路やY字路)や四差路(十字路など)は日本中どこにでもありますが、七差路は日本に20か所ほどしかないそうで、一度見て、そして渡ってみたかったのです。

七差路へ向かう途中のおいで通り糀谷商店街で見かけた超レトロな看板建築のハセガワ理容店さん。壁が歪んでいるのがすごいし、営業を続けているのもすごい。

七差路に到着。7本の道路、わかりますか?(答えはすぐ下)

交差点の名称は七辻交差点というそうです。

ひっきりなしに車と自転車が通り抜けていく、想像以上に交通量の多い交差点でした。

[全国の七差路情報]
東京都世田谷区の「桜上水交番前交差点」、神奈川県横浜市瀬谷区の「下瀬谷2丁目交差点」、大阪府河内長野市の「本町七つ辻交差点」、京都府福知山市の一宮神社前の交差点、山口県宇部市の「宇部駅前交差点」なども七差路です。あと、多差路日本一は東京都江戸川区の「菅原橋交差点」で11差路だとか。いったいどんな交差点なのか、いつか見てみたいと思います。

 
夕暮れが近づいてきたので、七差路から一番近い京急雑色駅から帰路につきたいと思います。どこからでも電車に乗って帰れるのが輪行の良いところです。


 

今回巡ったポイントと走行ルートです。約23kmの自転車散歩でした。


 

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今回の「ローカル駅からはじめる自転車散歩」は如何でしたか?日本には全国くまなく駅があり、輪行すれば「楽に長距離を」「比較的安価に」移動でき、天候や体調の急な変化や機材トラブルにも対応できます。皆さんもDAHONの折り畳み自転車(フォールディングバイク)に乗って、チェアリングやソロバーベキュー、ソロキャンプの旅はいかがでしょうか。DAHONでは様々な折り畳み自転車をラインナップしていますので、走行機能と折り畳み機能のバランスを考えながら直感的な好みも含め、自分にあったモデルを選んでください。

DAHONでは様々な地方のローカルな鉄道駅を起点にした自転車散歩(ポタリング)記事を連載しています。更新時にはFacebookX(旧Twitter)、Instagramでお知らせしますので、ぜひフォローをお願いします。

 

*使用車体
 DAHON / DEFTER(Color:ディープレッド)

*この記事で紹介している情報は、2023年6月時点の取材に基づいています。
*自転車に乗車する際はヘルメットを着用するとともに、歩行者のいるところや細い路地などは押し歩きや迂回するなど、マナー優先でサイクリングを楽しみましょう。