2024年1月15日月曜日

ローカル駅からはじめる自転車散歩【JR東日本 成田線 滑河駅】

 ゆっくり起きた予定の無い休日の朝、折り畳み自転車とともに列車に乗って、ふらっと思いのままにローカル駅で降りてみる。特別な観光地ではなく、普通に人が暮らし、働き、近所の公園で子どもが遊んでいる、なんの変哲もない町だけど、のんびり走ってみると、いろいろな発見や出会いがある。そんな、小径車だからこそのゆるい自転車散歩をお送りする連載記事。今回は、JR東日本成田線の滑河駅からスタートします。


 

* * *

 

滑河駅。今回利用する折り畳み自転車はSpeed RB。DAHONの中でも一二を争う走行性能を活用するべく、20km以上走るコースを検討して、この地に降り立ちました。あたりに広がる静けさ。遠のいていく成田線、カンカンと鳴っていた踏切の警報器が鳴り止めば、そのあとに続く音は何もなし。駅前を見渡せば、あるのはシャッターをおろしたお店が1件、半分くらい埋まっている駐車場、学生が利用していそうなシティサイクルが溢れる駐輪場。

まさにローカル駅。予想以上の田舎な雰囲気で、ちびまる子ちゃんでお馴染みの3本線が顔に浮かび上がってくるのを感じます。

公共交通機関を利用して自転車を運ぶことを輪行(りんこう)といいます。サイクリングや旅行の行程の一部を自走せずに鉄道、船、飛行機、バスなどを利用するもので、遠くへ移動したり、時間を短縮することができます。

折り畳み自転車を展開し出発の準備をしていると、あたりが賑やかに。駅前ロータリーに車が次々と入ってきます。助手席から降りる人の手にはスーツケース。どうやら、みなさん、年末年始に帰省されていて、これから東京に戻っていくのでしょう。数分もすると、上り電車がやってきて、その電車が出発すれば、また静けさ。時刻表をみてなるほど納得、1時間に1本だけの電車にみなさん合わせて行動しているのですね。東京都内のサイクリングとの対比に驚きを隠せません。

さぁ、この何もないところでなにをするのかといえば、七福神巡り。神社仏閣を中心に鎮座した七柱の神様を順番に巡ることで幸せをもたらすと言われています。特に1年の最初に行うのが一般的と言われています。千葉県成田市滑河にも『しもふさ七福神』と呼ばれる七福神巡りがあります。ざっと、20kmくらいのルートで新春ライドと七福神巡りの両方を楽しむことができそうです。

東京23区では見かけることがない雰囲気の時刻表です。

駅の反対側のホームにはプラットホームにピッタリ重なるように鳥居がありました。駅を作るとき、参道を線路が横切ったので、このようになったそうです。今回の自転車とは関係していませんが、趣深く一枚撮りました。

さっそく最初に訪れたのは眞城院。ここで七福神巡りの台紙を受け取りスタートです。住職もサイクリングが好きなようで、しばし自転車談義を交わし、2番目の目的地に向けてペダルを回します。

七福神唯一の女神、弁財天が祀られていました。音楽、知恵、学問、福財の女神様と言われています。今年はコロナ後ということもあり、元日から多くの人が七福神巡りを楽しんでいるとの話をうかがいました。

道はまっすぐ。車もほとんど通ることなく、まるで自転車専用道路のような気持ちよさ。左側に目を向けると、広大な田畑が続いています。幸い、寒空ということもなく、すこし汗ばむ程度で快適なサイクリングを楽しめる感じです。

関東平野。奥に見えるのは利根川サイクリングロードです。稲作地と青空がひろがり、自転車を停めて記念撮影を行いました。

道を曲がると、待っていたのは坂道。千葉県は一般的に平坦ですが、実は丘が結構あるのです。息を切らして丘を登った先にあるのが成田ゆめ牧場。テーマパークとなっているので、家族連れと思われる観光客多数。受付で御朱印をいただき、次の目的地へ。



成田ゆめ牧場に鎮座しているのは福禄寿。福徳と長寿をもたらすと言われている神様です。神社でもお寺でもない箇所に鎮座しているのは非常に珍しいです。成田市観光協会のサイトによると、しもふさ七福神は地域活性化事業の一環として1986年に誕生しました。そう考えると、成田ゆめ牧場が含まれているのも納得しました。

3番目の神様は成田ゆめ牧場近くにある常福寺。ものの5分くらいで到着です。細い路地を入っていく感じが冒険みたいで楽しいですね。


常福寺では五穀豊穣、福寿開運、福財の神様である大黒天が祀られています。御朱印はセルフで押すシステムでした。地域の方々と交流をしたかったので、ちょっと残念。

どんどんと先を急ぎます。途中の谷津道で夫妻を追い抜いていきます。こんな山の中を歩いているなんて、きっと七福神巡りをされているのでしょう。こちらは自転車、あちらは、徒歩。こちらは一人、あちらは二人。いろいろな楽しみ方があるのが七福神巡りの魅力です。

丘陵に沿ってクネクネと続く道。もともとは海沿いの湾岸道路だったと思われます。このような道は千葉県北部に多く、谷津と呼ばれています。

楽満寺に到着し、4番目の七福神である恵比寿をお参りします。すると、さきほどの夫妻が後ろから!やはり、徒歩で七福神巡りをされているとのことです。私よりも年上な雰囲気ですが、徒歩で周るなんて、その健脚ぶりに驚きを隠せません。しばし七福神談義を行い、お互いのご多幸を祈り、先に進むことにします。

恵比寿は庶民救済、福財、商売の神ですが、サッポロ恵比寿ビールに描かれているという方が、身近に感じる人もいるでしょう。どこか親しみを感じる装いなのは、七福神の中で唯一の日本出身だからかもしれません。

5番目の目的地は離れたところにあります。完全に田舎の山道の様相で、暗くなったら迷子になってしまいそうな道。もちろん、周囲には何もなく、聞こえてくる音はゼェハァと息を切らして坂を登る自分の息だけです。と思いきや、あたり一面に響き渡るように轟音が聞こえてきます。ここは成田市ですから成田空港も近くにあります。飛行機の離発着も多く、たくさんの飛行機が近くを飛んでいるのです。これは、飛行機撮影会の開始か!と思ったのですが、あいにく私が所持しているカメラでは豆粒のような飛行機撮影となってしまいました。

下りはイヤだな、と思います。なぜならば……

上りもあるからです。


豆粒のように飛行機が写っているのは伝わるでしょうか。実際はもっと迫力があったのですが、それを写真に収めるにはバズーカのような超望遠レンズが必要ですね。

遠路はるばる訪れたのは5番目の目的地である乗願寺です。住職に御朱印をお願いすると、本堂に上がるように促され、丁寧に読経をしていただきました。畏れ多い限りです。

乗願寺で祀られている布袋尊は円福、子宝の神様です。大きく膨れ上がったお腹が印象的な神様でもあります。

一番遠い乗願寺への参拝を済ませて、山場を乗り越えました。次の目的地へと向かいます。またしても続くのは上がったり下がったりの山道と谷津道。。。同じような景色が続きますね。

たどり着いたのは龍正院。これまで訪れたお寺とは迫力がちょっと違う感じです。ここで、御朱印をいただき、住職としばし談笑させていただきます。こちらのお寺は坂東札所観音第28番目の霊場として知られているとのこと。鎌倉時代の頃、関西にならって、現在の関東の地でも観音様を祀ることになり、33の観音様が登録されました。当時の人は現代以上に死後の世界に関心があり、心配していたそうです。そこで、観音様のところで手を合わせることで、自分自身が極楽浄土に行けるように願ったそうです。

こちらの仁王門は国の重要文化財にも登録されており、迫力十分でした。

龍正院に祀られているのは毘沙門天。仏教の守護、悪霊退散、開運厄除け、福財の神様と言われています。戦国時代大好きな人は上杉謙信が祈っていたという方が馴染みがあることでしょう。

ここで気づいたのが、七福神最後が龍正院であるはずなのに、6箇所しか訪れていないということ。あれ?どうやら、途中で道を間違えて、一つ飛ばしてしまった模様。伝えによると、七福神巡りのルートは特に定められているわけではなく、行きやすい順番で問題がないそうです。ほっと一安心。あらためて、地図を確認して、最後の一つを目指します。

たどり着いたのは、昌福寺。忘れていたわけではありませんよ。順番は自由ですから!と意気揚々と進み、最後の御朱印を手にします。

昌福寺に祀られているのは寿老人。福徳の神。災難除、長寿の神です。ここも住職の姿はなく、自分で御朱印を押す仕組みでした。

何はともあれ、無事に7つの御朱印を手に入れて、七福神巡りは終わりとなります。このイベントの楽しいところは全部集めたときの達成感が味わえることです。まるでドラゴンボール。

帰り道に利根川サイクリングロードに寄り道。遠くには筑波山、そして富士山もそびえています。冬の河川敷は寒いですが、空気が澄んでいて景色が素晴らしいのがポイントです。その迫力を写真に収めることは難しいですが、心に深く刻み、皆さんと自分に幸があることを願う2024年のスタートです。

利根川サイクリングロードより撮影。遠くに見える富士山は肉眼ではバッチリみえたのですが。

ふと利根川サイクリングロードから下を見ると、宝船が見えます。近寄ってみると、なんと七福神全てが勢揃いしているではありませんか!全部を巡らなくても、ここで七福神全部に会えるのですね!でも、七箇所を訪れるという苦難を乗り越えてこその「幸」だと信じて、帰りの電車に乗り込むことにします。

七福神集合。私たちに「幸」をもたらすための会議中。

無事に御朱印を全部集めることができました。

今回巡ったポイントと走行ルートです。


 

* * *

 

今回の「ローカル駅からはじめる自転車散歩」は如何でしたか?日本には全国くまなく駅があり、輪行すれば「楽に長距離を」「比較的安価に」移動でき、天候や体調の急な変化や機材トラブルにも対応できます。今回の記事に登場した折り畳み自転車はDAHON Speed RBです。長距離ライドも可能にするドロップハンドルと20段変速を備えています。DAHONでは様々な折り畳み自転車をラインナップしていますので、走行機能と折り畳み機能のバランスを考えながら直感的な好みも含め、自分にあったモデルを選んでください。

DAHONでは様々な地方のローカルな鉄道駅を起点にした自転車散歩(ポタリング)記事を連載しています。更新時にはFacebookX(旧Twitter)、Instagramでお知らせしますので、ぜひフォローをお願いします。

 

*使用車体
 DAHON / Speed RB(Color:メタル)

*この記事で紹介している情報は、2024年1月時点の取材に基づいています。
*自転車に乗車する際はヘルメットを着用するとともに、歩行者のいるところや細い路地などは押し歩きや迂回するなど、マナー優先でサイクリングを楽しみましょう。